039 湯田川温泉 甚内旅館 ② 藤沢周平ゆかりの | カラダにいい水いい温泉 朝倉一善のブログ

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このブログでは、私が体験取材した、心と身体にいい水・いい温泉・飲用できる温泉(源泉)水についての情報を中心にお知らせしていきます。

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039 湯田川温泉 甚内旅館 ②
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泉質 ナトリウム・カルシウム―硫酸塩温泉 pH8.4
泉温 42.6
主な成分 ナトリウム・カルシウム・炭酸水素イオン
      など 
 
硬度 441.6mg/L(リットル)
効能 動脈硬化症、慢性消化器病、慢性胆のう炎、糖
    尿病、痛風、外傷など

アクセス
JR羽越本線鶴岡駅から湯田川温泉行きまたは越沢行き
 バス湯田川温泉下車

・車=山形自動車道鶴岡ICから国道7号線、県道経由約
 5
km
10

宿泊入浴
 甚内旅館
  TEL 0235・35・2151 FAX 023535・3533
 〒9970752 山形県鶴岡市湯田川乙16
  URL http://www.jinnairyokan.com/index.htm

□1泊2食
円~。グルメプラン1万5000円~。お仕
 事プラン1泊2食7500円。素泊まりプラン6000円。レ
 ディースプラン(3名以上。1人当り)1泊2食+ワ
 イン&オードブル1万1000円 ほか(各税別)
 *朝掘り孟宗を使った筍ご飯・孟宗汁・焼き孟宗・天
 ぷらなどが堪能できる孟宗づくしプランもある(6月
 5日まで)
 外来入浴400

(本文)
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藤沢周平ゆかりの
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開湯1300年という伝統がある湯田川温泉。

同じ山形県内の、大型温泉ホテルが居並ぶ温海(あつみ)温
泉や湯野浜温泉とは異なり、花崗岩質の霊山・金峰山(きん
ぽうざん)の麓にある静かで落ち着いた湯治場の雰囲気が残
る温泉街だ。

                     共同浴場の正面湯

鶴岡市
出身の作家藤沢周平は戦後の一時期、湯田川中学
の教師をしていた。

藤沢周平が描いた一連の作品には、『義民が駆ける』や『長
門守の陰謀』『回天の門』など庄内藩の歴史に取材したもの
がある

多くの時代小説の舞台となっている架空の藩“海坂藩”は庄
内藩がモデルとされる。「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」
「武士の一分」(ともに山田洋次監督)、「蝉しぐれ」(黒土三
男監督)などで映像化されている。

やはり映画化された『花のあと』は、湯田川温泉が主要な舞
台となる、女剣士の悲恋を描いた名作だ。

甚内旅館の玄関を出て右へ16歩(笑)。共同浴場の正面湯
ある。

正面湯の前の通りをはさんだ対面の小路を進むと、石の鳥居
が見えてくる。掲げられた額に

延喜式内 由豆佐賣神社

とある。由豆佐賣は(ゆづさめ)と読む。平安時代の延喜式神
名帳にもその名が登場するという古社である。
 
                   由豆佐賣神社の鳥居

祭神は溝樴姫命(みぞくいひめのみこと・稲作の灌漑を司る
女神)、少彦名命(すくなひこなのみこと・医薬、禁厭法=まじ
ないを司る神)、大己貴命(おおなむちのみこと=大国主命。
国造り、五穀豊穣、縁結びなどの万能神)。

少彦名命、大己貴命の二神は各地で医薬祖神、湯の神とし
て祀られている。

由豆佐賣は湯出沢(ゆづさわ)の意だとする説もある。

鳥居をくぐってさらに進むと、石橋の脇に斎藤茂吉の歌碑が
立っている。

式内の由豆佐賣の神ここにいまし 透きとほる湯は湧きでて止まず

由緒書きの看板によれば、この由豆佐賣神社は瀧蔵(たき
のくら)権現ともよばれ、現拝殿は江戸の安永年間(1772~
1781)、神社内に設けられた別当寺(現真言宗豊山派大日山
長福寺)の十一面観音を祀る観音堂であったという。

神仏習合の往時は、観音さまは水神の本地仏であるから、
当神社は、五穀豊穣とともに、湯田川の温泉の恵みに深く感
謝しその守護を祈願する神社であったのだろう。

老杉の間をのびる石段をたどる。

石段の上り下りも、経穴が集中するくるぶしを刺激し血行をよ
くしたり、太腿の筋肉を鍛えて若返りのホルモンといわれるサ
イトカイン10を生成したりする。

参道の上り下りが湯治効果を高め、神仏への祈願によって脳
内ホルモンの正常な分泌を促す。

私が提唱する人類活性化の切り札、“お参りと温泉”の典型が
ここにも存在するのだ。

手水舎の先に、女性の乳房のように気根が何本も垂れ下が
り俗に“乳イチョウ”と呼ばれる、銀杏の巨木が天を衝いて立っ
ている。

                   神さびた銀杏の巨樹

かつては若い母親たちが、豊かな乳の出を願って観音さまと
ともに祈りを捧げたという。

水屋で身を清めてから、見事というしかない銀杏の肌に、驚く
ばかりの大きさの気根にふれてみる。

銀杏はたいへん精の強い樹で、民家の庭先にあったりすると
その家の住人の命を縮めるようなことが間々あると、一昔前、
樹医の第一人者といわれる人に聴いたことがある。

銀杏はすべからく、神社や寺院の境内か、野山におくしかな
いとその人は言っていた。

石段を上りきった、上の平地に拝殿が建っている。
 

この平地で、映画「たそがれ清兵衛」の祭りのシーンが撮影さ
れたという。

藤沢作品が映像化されたものの中で、「たそがれ清兵衛」が
私は一番好きである。
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