スピノザの診察室   夏川草介
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●著者より 読者の皆さまへメッセージ●
医師になって二十年が過ぎました。その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。医療が題材ですが「奇跡」は起きません。腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。今は、先の見えない苦しい時代です。けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません。(夏川草介)
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やさしい語りがお人柄なのですね。
読み終えたときに生きることを大切にしよう。
生かされているという感覚を研ぎ澄まそう。
人が生きるとはどういうことか。
予約待ちの根強い人気に合点がいきました。
次も読みたくなる作家さんです。
このスピノザの診察室も続編の計画があると
対談記事にありました。今から楽しみです。
医療小説はたくさん出版されていますが
命をありのまま受け止めていくとはどういう事か
強く伝わる描写力と京都の町を舞台に
美しい日本語が並んでいたのが印象に残りました。
奥行きのある装画も引き込まれますね。
おすすめです。