風に立つ  柚月裕子
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家庭裁判所に送られてきた少年を預かる補導委託の引受を突然申し出た、南部鉄器職人の父・孝雄。父の行動に戸惑う悟。少年と工房で共に働くうち、悟の心にも少しずつ変化が訪れる。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!『読売新聞』連載を単行本化。家族小説。
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分厚い406頁からなる本ですが、
派手なことは何一つ起こらない
地道な暮らしのなかに
親子の生活が繰り返される一冊でした。
作者の生まれ故郷でもある岩手が舞台ですが
岩手山やチャグチャグ馬コなど
必ず行って見てみたいと思う描写力です。
柚月さんがこの本の対談のなかで
親子は言葉にしないと分かり合えないことがあるけど
伝えられないこともある。ほんの少しのことで変化できるはずなんです。そのきっかけとは何か、私なりに考えた答えを作品に込めています。本を閉じた時にそれを感じ取って頂けたら....。
読み終えて、とてもあたたかい気持ちになりました。
主人公の家族、そして少年家族と同じ時間を過ごし
それぞれの苦悩を聞きながら、人と出会い、
人と交わっていくことで変化していく人生がある。
そうわたしは感じました。
とても共感できる一冊。おすすめです。