BLANK PAGE 空っぽを満たす旅 内田 也哉子
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2018年秋に母の樹木希林さん、
翌年の春に父の内田裕也さんを立て続けに喪い
虚しさ、混乱、放心状態、ブラックホール……。
人生の核心的登場人物を失い
空っぽになった私は人と出会いたいと切望した
独りで歩き出す背中をそっと押す、
5年にわたって15人と対話したエッセイ集。
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エッセイというには、
私にはとても深すぎる一冊でした。
15人の方との対話を活字に落として
也哉子さんが言葉の襞をつけていますが、
その襞が繊細すぎて、緻密すぎて、
ガラスのように私は感じました。
いまにも空洞となりそうな也哉子さんの心を
少しずつ満たしていったものはことば....。
也哉子さんと15人の方との対話を
読ませていただきながら自己概念はもちろん
言葉の世界、思考の世界は広いですね。
42歳の也哉子さんの人生を物語る語彙力と
機微に通じた世界観がエッセイに漲っていました。
私は谷川俊太郎さん。中野信子さん。養老孟司さん、
ヤマザキエリさんの対話が心に残っています。
ヤマザキエリさんの章に
「なんか、生まれてきたから、生きてていいんだ....
へぇーって感じ」
「こうして生きてていいんだ....へぇーって感じ
マリさんの自己実現の有り様が光ってて好きです。
作中にはいろんな方の言葉が幾重にも
折り重なって出てきます。読み応えがありました。
読みながら挿画がかわいいな。と思ったら
当時8歳の次男の玄兎げんとくんが描き
表紙は也哉子さんが描かれてるのですね。
言葉って無限なんだと痛感する一冊です。
おすすめです。