「ムーンライト・イン」中島京子(角川文庫)
とある高原にある元ペンション
営業当時の名称が「ムーンライト・イン」
そこは、どういうわけか
東京から逃げてきた(?)らしい男女4人+オーナー1人が
奇妙な共同生活をする場所になっている
家族から逃げてきた高齢女性
人を殺したかもしれないと怯えている介護ヘルパーの女性
生き別れの父に会いたいフィリピン人女性
仕事を失って帰るところがない男性
それぞれがなにがしかの理由と秘密を抱えていて
その秘密が1つ1つ解きほぐされていく
4人+1人の共同生活は1年にも満たずに終わってしまいますが
まるで隠れ家のような居心地のいい場所で
家族でも何でもない人たちと生活を共にすることで
自身のことを見つめなおす時間を持つことが出来て・・
でも、ずっとここにいられるわけじゃない
ということも、みんなわかっている
やがて各人が旅立ちの時を迎えると
思わぬ展開でオーナーは1人取り残されてしまって
ちょっとかわいそうかも?と思いますが
その顛末もなんか笑えます
いつかまた
今度はそこを避難場所ではなくふるさととして
帰ってきてくれる人もいると思うので
みんなの "実家のお父さん" として
オーナーには元気でいてほしいなと思います
(ほぼ)2月の本箱