「朝のあかり 石垣りんエッセイ集」石垣りん(中公文庫)

 

 

「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」

 

というタイトルの詩を知ったのは

中学生のときだったか

高校生のときだったか

 

授業で取り上げられたのか

教科書に載っていたのか

副教材に載っていたのか

 

細かいことはもう覚えていないのですが

その詩を初めて読んだ時の

何か、目を開かれるような新鮮な感覚は

なんとなくずっと記憶の底にありました

 

 

ワタシはずっと、石垣りんさんという方は

どこかの家の ”お母さん” なのかな、と思っていました

 

けれど、このエッセイを読んで

14歳で銀行に就職して、定年まで40年勤め上げたこと

働きながら、家族を養い、詩を書き続けたこと

生涯独身であったこと、などなど

 

そんなことを初めて知りました

 

 

エッセイの中で語られた1つのエピソード

 

石垣さんがお祖父さんに問いかけます

「お嫁にも行かないで、この先、私がやってゆけると思う?」

「ゆけると思うよ」

「私は、私で終わらせようと思っているのだけれど」

「ああ、いいだろうよ、人間、そうしあわせなものでもなかった」

石垣さんのお祖父さんは、石垣さんを穏やかに肯定してくれます

 

このエピソードもまた

ワタシの頭のどこかに

ずっと残り続けるのだろうな、と思うのです

 

 

いろいろな事情があったにせよ

女性が外で働いて、1人で生きていくことに

今よりもっと ”生きづらさ” を感じることが多かっただろう時代に

 

自分らしく生きることを選んでいたら

こういう人生になりましたーーとでもいうような

気負いのない、気取りのない、その ”ひととなり”

 

石垣さんって

今で言う ”おひとり様” の大先輩なのか・・と思えば

不遜にも何か親近感みたいなものを覚えたり(失礼かな~?💦)

 

 

 

 

また、石垣さんの詩集も読み返してみたいと思います照れ