「神さまのいうとおり」谷瑞恵(幻冬舎文庫)

 

父親が会社を辞めて農業をしたいと言い出し

母の祖母の家に一家で移り住むことになった友梨

 

主夫になった父親に反発したり

移住先で再会した幼馴染や

高校での友人との関係に悩んだり

 

描かれているのは

ごくごく普通の女子高生の日常なのですが

 

読んでいると、その場所が

 

「となりのトトロ」とか

「夏目友人帳」とか

 

そういう、日本のどこかの田舎町だけど

日本のどこにも存在していないような

でも、なつかしい記憶がよみがえるような

ちょっと不思議な感覚になります

 

といってもファンタジーではないので

奇跡も、摩訶不思議な出来事も起こりません

 

 

このお話のキーパーソンともいえる

友梨の「ひいおばあちゃん」

 

昔からの言い伝えや風習を

生まれ育った環境の中で当たり前に身に着けて

日々の生活の中で当たり前に実践して

疑うことなく素直に生きてきた世代の人

 

そんなひいおばあちゃんが

現代の高校生である友梨に教えてくれるのは

昔からの言い伝えや風習に込められた、本来の意味

 

父親には反発を感じていても

ひいおばあちゃんの言うことなら

素直に受け止めることができる友梨

 

ひいおばあちゃんと生活を共にすることで

友梨も次第に、”大切なこと” を学んでいきます

 

 

けれど

そんな昔ながらの風習の意味を知っている人も

次第に少なくなっていて

 

作中で人形屋敷のオババが

「御札を使い切る頃には、その力を信じる人もいなくなってるだろう」

というようなことを言っていますが

まさに、そうだな、と

 

それは時代の流れでもあるだろうし

それを止める手立ても、たぶんないのだろうな、とも思いますが

また別の形で、”人の願い” は受け継がれていくのかもしれません

 

 

 

ーー毛糸が絡まったら

ひいおばあちゃんがやってたように

優しくもみほぐしてやればいいのですね

今度、試してみよう

 

ーー「橋の下で拾ってきた」

そうそう、ワタシも言われたことがあります

口喧嘩の決まり文句みたいな感じでしたけどww

 

 

 

 

キンセンカ 植えっぱなしで毎年咲いてくれます