亡き父に、捧げる。 | 宇宙の森探索

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風ノ意匠サスケの変態ブログ




ここ数回に渡り
皆さまを暗鬱な気分に
落とし込んでまいりました
わたくしサスケの
暗黒なる過去シリーズ
今回をもって
とりあえずの幕といたします

皆さまには
最後まで辛抱強くお付き合いいただき
誠にありがとうございました

このシリーズにおきましては
otonageekさんより
お力添えとアドバイスをいただきました
重ねてお礼申し上げます



それでは
暗黒なる過去シリーズ

最後の暗黒は
こちらです

↓↓↓
 








父の日

いつになく身構えて
慎重に
気をつけろ
銃声はいつも背後からあるものだ
悲鳴のように爪で剥ぎ落としてきた
今日のぼくは泥を咬み
不幸な明日は歯ぎしりしながら
圧力を増している

だいじょうぶです
お父さん
ぼくも男だから

雪崩の中でも
自分の錐きりで火を起こし
温かな名を叫びながら
血染めの半旗をあげてみせましょう
立派なお父さん
けれど
かつてあなたの追いつめた一匹の犬に
今なお恐れるぼくを
許してはいけない 

あなたは許してはいけない
薄っぺらな胸は
もう吸い込めない健康な夢の代わりに
安物の煙を求め
切り開けば
ほら
昨夜見た悪夢よりも孤独な暗闇の只なかへ
あなたを覚醒させる
魔物が秘そむ

お父さん
あなたの抱けなかった美しい人を
ぼくはこの手で犯しました
その喜びの中でさえ
ぼくを濡らすのは汗ではなく
逃亡の露

立派なお父さん
あなたの偉大なものを
ぼくも受けついで生まれてきました
ああ   ぼくはあなたに似ている
歩き方も
怒り方も
悲しみ方も
その目その指その腰その脊髄の
その脳細胞のそのシナプスの
その遺伝子のその配列パターンの
その生き方
その愛し方
ひょっとしたら
ぼくの知らない誰かとの寝物語に
あなたの吐いた
優しい嘘さえ
ぼくと同じだったのかもしれませんね

お父さん
ぼくはあなたの息子です
だから
あなたの背中に若い矢を引き
あなたの敵をその呪縛から解き放ち
前に広がる荒地へ
ぼくは裸足で向かおうとしている

力が足りなくても
お父さん
ぼくの敵は
ぼくが選ぶ

ぼくを許してはいけない
そのたくましい肩の上で
ぼくは自分の髪を焼き
動脈を断ち
傷跡を残したまま
ついにあなたの見ることのできなかった
地平へ
若い決意のまま旅立つ

今日も引き裂き
明日も引き裂き
そしてもし
ぼくを狙う銃口に身動きできなくなったら
ぼくも自分で堕ちます
けれど
ぼくの追いつめる最後の敵の
墓標に刻まれるのは
お父さん
それはやはり
あなたの名前です








先月亡くなった
父へ
この詩を捧げます


 




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