元々、事業で成功していた人が、仕事のストレスからか、知らず知らずの間にアルコールに溺れるようになってしまった。お人柄はすこぶる良いのだが、内面に弱いものを抱えているのだろう。おまけに、憑依の要素もあるようだ。
そういう人物に対して弘法大師は、「そなたの人生をこれで終わらせてはならぬ。片手片足の人生ではなく、その身すべてを使って、幸せをつかんでゆくのだ」と励まされた。しかし現実にはアル中の泥沼から脱却するのは、容易なことではない。
そこで言われたのが、「強く手を引く者に、まずはついてゆくがよい。あれよあれよと知らぬ間に整ってくるはずである」という言葉だ。ここで「強く手を引く者」とは、どうやら私のことらしい。私は護摩を焚くだけで、どなたの問題にも個人的に関わらないようにしているのだが、時々、弘法大師は私が直接動くことを指示される。その結果、難題が解決されることもある。いつもヤギと一緒に昼寝をしているような馬糞和尚が、少しでも世のため人のためになれるのなら光栄なことだ。


