ミュージカル『ラグタイム』
日本初演!
20世紀初頭 ニューヨーク
3つのルーツが交わり合い世界は新しい時代を迎えるという物語
東京公演(9/9〜9/30日生劇場)
大阪公演(10/5~10/8梅田芸術劇場 )
名古屋公演10/14・15愛知県芸術劇場 )
大阪公演にて初観劇!
会場:梅田芸術劇場 メインホール
日時:2023年10月6日(金)12:30
脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
翻訳:小田島恒志
訳詞:竜真知子
演出:藤田俊太郎
石丸幹二/ターテ
井上芳雄/コールハウス・ウォーカー・Jr
安蘭けい/マザー
遥海/サラ
川口竜也/ファーザー
東 啓介/ヤンガーブラザー
土井ケイト/エマ・ゴールドマン
綺咲愛里/イヴリン・ネズビット
舘形比呂一/ハリー・フーディーニ
畠中 洋/ヘンリー・フォード&グランドファーザー
EXILE NESMITH/ブッカー・T・ワシントン
リトルボーイ(Wキャスト):大槻英翔、村山董絃
リトルガール(Wキャスト):生田志守葉、嘉村咲良
リトルコールハウス(Wキャスト):平山正剛、船橋碧士
原作を読了しての観劇
ラグタイム (ハヤカワ文庫NV) https://amzn.asia/d/cH5nFAn
原作では群像のそれぞれの人生が順に語られていく
白人はファーザー
黒人をコールハウス
移民をターテを代表にして
取り巻く社会の様々な人たちが絶妙に絡み合っていく
そうなると面白くてサクサク読了に至る
実は群像説明の間が案外 長くて サクッと読了できず途中で挫折して一旦 図書館に返本をした(苦笑)
観劇までにはと再度 チャレンジしての読了だった
諦めずに良かった
これは原作を読んで臨んだ面白さ!
演出の素晴らしいこと!!
圧巻だった
藤田俊太郎さん!
大変期待していたけれどお見事!!!
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』から以降 とても期待して注目もしている方
この感覚
これからも楽しみでならない
客席に入ると視覚を奪う緞帳
3つの群れが描かれている 左から黒人→カラフルコーデ 中央は白人→全身白コーデ右は移民→グレーコーデ
これだけで唸る日本では分かりにくい肌の色による人種の違いミュージカルではどう捉えるのかそれこそ黒塗りは原作にもあったが馬鹿にしているとも捉えられがちで安直すぎる難しいだろうなと思っていたため こうきたかと その演出に唸るそして素晴らしかったのが冒頭まず原作では長々しく読み続けるのを諦めてしまおうかとも思わされた人物紹介
ミュージカルでは音楽と視覚に乗せてサラリと分かりやすく取り扱っていた次にターテの切り絵のシーン同じくターテの動く物語パタパタ漫画 のシーン
舞台表 そのものが 絵本 と化してベージがめくられると実際のターテと娘が動く
そしてそれが切り絵そのもののなるという演出
これにも唸るでベージがめくられる次々にめくられるターテたちが動く
白黒の切り絵というシンプルながらにして美しいシーンだったそして演出にも劣らない絶対的な歌唱力を誇る歌唱力抜群のカンパニー
それぞれ一人ひとりも素晴らしい歌唱力の俳優さんただとは分かっていたけれど
しかしだ
それでも合わさると融合しておらず誰かの声が角を出し品がなく台無しになってしまうことは 特に東宝系のミュージカルにはアルアル症状
しかし!!
この作品は違った
サラのアリアに滝涙なんなのだ この情感溢れる歌声は!?
そして続く1幕ラストのゴスペル?ブルース?合唱は圧巻!私は原作読了して観劇したためわかりやすかったけれど予備知識無しで観劇はどれだけ伝わっただろう?とは感じた
例えばサラの大統領への直訴時たしかにピストルが見えた の下り黒人故に 訴えるために差し伸ばした手が黒く光るピストルに見えたという勘違いから生まれた悲劇性をもっと強調したほうが良かったのでは?と感じた
石丸さんのお役のターテ
原作では影絵師から映画王にのしあがるユダヤ系移民の役
娘と二人暮らし
劣悪な環境から娘を守り逃れるため 娘と列車に乗り大陸を継いでいく様が長々と陰鬱に描かれる
そんな中でターテが娘を楽しませようと影絵で作ったパラパラ漫画
それが生活の足しになりやがて映画王にというもの
ミュージカルではこの長々とした序盤と最後に登場するターテと娘
ミュージカルでは序盤に
途中に
そしてラストをまとめるというふうに→これは原作もそう
うまい具合にターテを登場させる演出になっていた
ブラボー!
浜辺でマザーとラグタイムを耳にしたターテの言葉
「ラグタイムを聴くと宙返りをしたくなる
しないけど」
→原作のターテは!
してますよ〜
と心のなかでツッコみを入れた
原作でのターテは宙返りだけでなく側転もしていたように記憶する(笑)
原作と比較すると少し違和感があったのは愛車を壊されプライドを傷つけられて以降のコールハース
原作のコールハースは常に冷静だった
異常なまでの冷静さ
支援者が熱くなればなるほど その冷静さが際立った
それはサラの命の灯火が無惨な形で消えた時
自身の死も決めていたからの覚悟の表れ
だから
死を求めてはいても恐れてはいなかった
ゆえに
ミュージカルではコールハースが立て籠もった図書館を出る際に
「僕 死ぬのかな...」と呟くシーンには違和感を覚えた
ラストシーンのターテ
3人の子どもたちが戯れるのを見守るターテ
黒い髪をした実の娘
亜麻色の 縮れ髪をした義理の息子
そして法律上 責任を負うことになった黒い肌の子
結果的に皆ターテの子となった3人の子どもたち
そしてターテの頭に映画の着想が浮かぶ
色々な人種があって
皆 一様にいたずらっ子で
様々な冒険をしたりトラブルに巻き込まれたり抜け出したりとする映画を作ると
そう まさに描かれてきた多人種の群像劇
生き様そのもの
そうしてラグタイムの時代は終わりを告げる
これからを これからの未来を生きていく子どもたちへのメッセージ
開演前の人種毎に3つの群れだった人々は融合し混ざり合い ひとつになっていた
オープニングとエンディング
この2シーンだけでも
この物語の意味するものが分かるというほどのお見事な演出
これは今年一番の傑作!と言い切ることの出来る
是非とも再演を!と期待する作品だった
石丸幹二さん!
長年 演ってみたいと思われていた作品 素晴らしいものに仕上がっていて感動しました
良い機会をくださってありがとう