関西フィルハーモニー管弦楽団のサイトより引用
吉松が神と崇めるシベリウス・・・第6番&サイバーバード
ジャン・シベリウス、吉松隆、藤岡幸夫、そして渡邉暁雄・・・。彼らは切っても切れない関係にある。少年時代、この北欧の大家が生んだ“第6番”に衝撃を受けて作曲家を志した吉松。そんな彼の盟友・藤岡は吉松の作品に人生の半分を賭けて上演を続けている。そして藤岡の師匠・渡邉は言わずと知れたシベリウス演奏のパイオニアでありスペシャリストであった。このように深い結びつきを見せる四者が“シベリウス・ダイヤモンド”を織り成し、今宵、極上の輝きを放つのである。

[日時]
2015年10月30日(金)
19:00開演 18:40~マエストロ藤岡のプレトーク
[場所]
ザ・シンフォニーホール

[出演]
指揮:藤岡 幸夫(関西フィル首席指揮者)
独奏:須川 展也(サクソフォン)
独奏:小柳 美奈子(ピアノ)
独奏:山口 多嘉子(パーカッション)

[プログラム]
~藤岡幸夫&関西フィル、シベリウス交響曲全曲ツィクルス第4回~
◆シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 作品104【生誕150年記念】

~吉松若き日の野心作、ついに関西上陸~
◆吉松 隆:ドーリアン 作品9 (1979) 【関西初演】

~須川&小柳&山口・・・最強の布陣で臨む“サイバーバード”~
◆吉松 隆:サクソフォン協奏曲「サイバーバード」作品59 (1994)


この演奏会から早4日が経ちホヤホヤ感想は前記事にて当日UPしているのだけれど)

大好きなザ・シンフォニーホールへ足を引きずりつつ向かった意味ごわかった演奏会




















演奏会の余韻は相当なもので
日常生活を送りながらもコンサートの脳内反芻&吉松隆還暦コンサートの映像&『平清盛』サウンドトラックハードリピートと吉松隆さまの音楽にどっぷりだった

私の中の吉松隆さまの音楽といえば 大河ドラマ『平清盛』からという歴史の浅さではあるものの
知り得て以降は これまでの吉松さまの音楽はそのほとんどのものを聴いている
中でもデビュー作の『朱鷺によせる哀歌』を聴いた時の琴線への触れ方は尋常ではなく…

まぁ 聴くもの聴くもの私の琴線のツボどんぴしゃりという感じで
この頃の吉松さまの音楽を求める貪欲さといったら半端なかった2012年~2013年の頃

そうして 関西で吉松さまの音楽とそれを指揮するのがマエストロ藤岡幸夫という機会があるならば足を運ばないわけにはいかなくて
そうして想像通りの いやいや想像以上の感動が私を迎えてくれた

私の最も惹かれるところのクロスオーバー

届けられる音楽は編成的には純クラシックなのだけれど音楽のリズムでいうならばジャズ&ロック&プログレ等など
枠に囚われない魅力的な「音」と「リズム」がそこにあり それらの根底に大きく深く静かにそれらを包む豊かな情感がある

これに尽きるかな

今回は吉松さまの若き頃の音楽もオーケストラ演奏で聴く事が出来て
その時のエネルギーたるやいかにパワフルで 行き先の無いエネルギーみたいなものがいかに莫大だったかがわかり座席でのけぞりそうになった

そして『サイバーバード協奏曲』に代表されるような
静かに心を揺るがされて 心を全開にし手の内をさらけ出したところで狂い去っていく
所詮人間は一人で生まれ一人で消えていく
大きな宇宙にポツンと漂い だけれど それでもいいか いや それでいいのよと
哀しいかのように思えるけれどどこか温かい大きなものに包まれた感じ

特に第2楽章に代表するような大人な情感
この辺り 私があっさりと落ちてしまう琴線というのか

あれこれ言っているけれど理屈じゃないんだなぁ
だからこそ 生音で聴きたい
それも極上のホールで その音楽を深く理解した熱きマエストロによるオーケストラで

そんな最高の条件が整ったところに その音楽を生み出した作曲家が登場して
飄々とその音楽について語ってしまう
それらをいとも易く客席で体感出来 五感で感じ取れてしまう
こんな機会って そうそう無いわね~

こんな事が叶ってしまうのだもの!
案外私が思う夢も夢じゃなくなるかも!!
その夢とは

吉松隆さまがお元気なうちに『吉松隆 全曲ツィクルスコンサート』が開催/strong>されて
しかも それは必ず関西でも開催されて(もちろんマエストロ藤岡幸夫で!)
毎回 マエストロと吉松さまのプレトークが繰り広げられるもの

何なら3部構成で『平清盛交響曲』(舘野泉さまの「カッチーニのアヴェ・マリア」が入っているもの)と『朱鷺によせる哀歌』と『サイバーバード協奏曲』のコンサートだけでもいいから(ってなんて上から目線)実現して欲しいな すぐにでも聴きたい!!!

と強欲は行きつく先を知らず(苦笑)

嗚呼 極上だったなぁ
この世のものとは思えないシチュエーションの演奏会
本当に素晴らしい定期演奏会だった

しばらく これだけで生きていけるわと思える時ほど
(他のコンサートの予定は要らないわと思える時ほど)
私の性なのだろうか
今日もまた楽しみなコンサートが待っていて これから足を運ぶ

まぁ 別ものだからいいのだけど
心が3つほどあるといいのにね(笑)

という事で本題
この日の色々メモは以下

まず入場時手渡された【プログラム】
それを開けば吉松隆さまによる曲目解説が!
~シベリウスは私にとって「魂の資料」というべき作曲家である~から始まり
その曲や人生の頁等背景や藤岡氏を含めた縁について
吉松さまの言葉によれば
~師シベリウスを巡る偶然を超えた不思議な因縁~について触れられており興味深いものだった

私は吉松さまの音楽もさることながら日記や書籍等に現れる これら文字に発する吉松さまの感性にも惹かれているので このプログラムは保存版!

【プレトークから】のメモ
マエストロ藤岡に招かれて下手から吉松さまご登場
その位置関係でトークが開催される

ここで私の血圧が一気に上がる(笑)

吉松さま曰く シベリウス6番について宮沢賢治の「銀河鉄道」
悲しいけど泣かないで微笑んでいるという日本人的な
ここ(シンフォニーホール)は思い出の場所
このホールで初めて自分の曲の演奏会の時 客席から出て舞台へという場面で作曲家と思えなかったようで不審者のように警備員に呼び止められた(笑)
作曲家が生きているというだけで不思議だったのかな

マエストロ藤岡曰く
聴いて良かったなと思えるような演奏会にしたい

【この日のメモ帳に休憩時書きこんだシベリウス6番の感想】
まるで1つの物語を読んでいるようだった
子どもの頃に読み聞かせをしてもらったような心地

ドロドロしたものが微塵もなくて
可愛くてワクワクしてドキドキしてハラハラして
だけど その振れ幅はけして大きく無くて
ず~っと大きな優しさに包まれている
どの音も 誰ひとりも仲間外れにしなくて
でもね
終わってみると静かにポツンと独りで居るの
でもその独りって決して寂しくもなくて
温かいものに包まれて ぽっと宇宙にひとつ浮かんでいるような
周りには目には見えないのだけれど
先ほどまでの皆の笑い顔の残響がと皆の温もりの熱が残っているような

そう それが賢治の世界ね
こどもの頃に大人のようにすっくと立っている感じ

ハープの音が可愛くて優しくて物語のリズムを刻む
大好きな音楽だ
良いものを聴いた!

【ドーリアンの感想メモ】
シベリウス6番とは正反対で ひとつひとつの楽器が強い意志を持って殴り込みの状態
ものすごいエネルギーだ

作曲家自らが同じ空間に居て演奏される演奏会って特別!
演奏が終わると1階下手後方にて観賞されていた吉松さまがマエストロ藤岡の紹介でお立ちになり観客から直接喝采を受け 会釈で応えられるという有難いシーンに立ち会えて幸せ!

【サイバーバード協奏曲の感想メモ】
サックス協奏曲でありながらピアノ・パーカッションのトリプルコンチェルト
私はパーカッションンが良く見えるお席だったのだけれど
その渾身の演奏がまぁため息が出るように素敵なもので
奏者の山口 多嘉子さんの気に吸い込まれそうだった
(申し訳ないけれど 還暦コンサート映像の時のパーカッションより数倍素敵だった!)

大河ドラマ『平清盛』でも起用されていたこの楽曲
ドラマが脳裏をかすめる事もあったけれど この日は須川さんの緩急ある演奏が魅力的過ぎて
息をのむというのか呼吸をするのを忘れてしまうほどの演奏
(これも還暦コンサート映像よりもうんと楽しそうにのびのびとされていた!)

演奏後 須川さん曰く「本番はじけて酸欠起こしそうだった~」