昨日の事 

それはそれは素晴らしい至福のコンサートに出かけてきた
(今もまだ夢見心地~)







関西フィルハーモニー管弦楽団 第5回城陽定期演奏会

大河のごとき雄大なスケールで迫る傑作
・・・シベリウス&ラフマニノフ“2”

~25歳の新星ピアニスト金子三勇士×藤岡幸夫×関西フィル!!~

ネット上でこのコンサートを称するに 上記のこれらを拾ったのだけれど
私的には加えて 第一にこうだった

吉松隆×マエストロ藤岡×関西フィル



【日時】2015年8月23日(日)14:00 (13:20開場)        
      13:40~ 指揮 藤岡幸夫によるプレトーク
       →今回は残念ながらプレトーク聴けず…
        この日から発売の『ニューイヤー・コンサート(関西フィル@文パル)を購入していたら そのチケット購入人気のあまりプレトークが終盤という頃になってしまった…

              
【会場】文化パルク城陽 プラムホール(京都府城陽市)

【出演】
指揮:藤岡幸夫(関西フィル首席指揮者)
ソリスト:金子三勇士(ピアノ)
関西フィルハーモニー管弦楽団 

【プログラム】
第1部
 ◆吉松隆:三つの水墨画 作品114 
 
 ◆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18 ※金子三勇士 

第2部
 ◆シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43 


こんなに贅沢でこんなに素敵なプログラムがあるだろうか!

私が現代の現存の作曲家で日本では最も魅了されている作曲家
吉松隆さま

(世界で ともなるとアンドリュー・ロイド=ウェバー!!なのだけれどね)

吉松さまの作品を 大好きな関西フィル&マエストロ藤岡の指揮で聴く

このシチュエーションは私にはたまらない絶好の条件であり
この条件が揃い 私のスケジュールも整うと どこへでも足を運んでしまうのよね

一昨年にこの作品『三つの水墨画』が初演された時にも行きましたとも!
そして 吉松さまを知るに至った 大河ドラマ「平清盛」絡みで
『平清盛交響曲』が同じ条件で演奏されると知った時も広島まで日帰りした…

その条件ふたたびで『三つの水墨画』再演!
それも京都にて!
それも私の住む街 そして仕事をする街に最も近いこのホールで!!

これは嬉しかったなぁ

という事で 今回はホールのクラシックコンサートを聴くにはあまり優れない場所(前方席)で聴く事にした
(今話題のピアニスト金子三勇士さんの様子も間近で感じたかったので!)

その作戦は大成功だった~

吉松さまの「三つの水墨画」
京都駅での初演時はアンサンブルでの演奏だった
今回はオーケストラとはいえ そう大きな編成にもならないだろうと予測していたのが大当たり!
弦楽器を中心にし 管楽器は2種類くらいだったかな
その弦楽器の揺らぎが骨身に そして琴線に触れてくる
前席では音のみならず 弦の震える振動までが伝わってくるようだった

震える…
弦楽器も空気も心も…

昇天してしまいそうだった…

大河ドラマ「平清盛」でどっぷりと吉松ワールドに魅了された私

そのジャンルを問わない柔軟で自由な音楽
精神性が高く実に大人
充分に大人である私をもってもまだまだ手が届かない…と思わせるほどの孤高で気高いまでに大人な世界
そこに潜む有り得ないほどに深く繊細で哀しげな世界観
その世界はどこまで深く どこまで悠久で どこまで漂うのだろう
劇場という空間のみならず 宇宙に溶け入っていく世界

心地良いのに切なくて
豊かなのに満たされなくて

届かない…
届かないがゆえに追いかけていく

そんな巡り巡り
巡り続ける宇宙での営みの中に放りこまれ 紛れ込み逃れられなくなり
所詮 ちいさなひとつだったのだと知り
仕方なく うん と得心する

ならば任せてしまえその流れに…と解放され
巡り巡り 
巡り続ける中に また触れてしまう吉松ワールド

多分これからも こんなふうに 私の中の根っこに吉松ワールドが在り続けるのだろう
そう
「平清盛」の時に その吉松ワールドに感じた中島みゆきさんと通ずる世界
私よりも大人で在り続けるその世界観に惹かれ続け その背中を見続けるのだろう

祈るように思う
どうぞ ずっと先を歩き続けてくださいね
背中を見続けさせてくださいね

そんな事を想いながら 期待以上の充足感に包まれた吉松作品だった!

その音楽を紡ぎ出す吉松さまはといえば
ホームページのblogや(そう 吉松さまの日々のエッセイのようなblogも私のツボ)
書籍やラジオ放送やコンサートでのトークからは
飄々とした佇まいで  なんでないことなのですよ!といった体でそれらの音楽を送り出されているようにお見受けする

大河ドラマ「平清盛」の頃 
ドラマを観るというよりは ドラマを聴くといった感じで毎週日曜日を楽しみにし
それら全てが私には直球ストライクで吉松ワールドにのめり込み
既出の吉松さまの音楽を片っぱしから聴く毎日でもあった

『平清盛交響曲』を聴くためだけに広島に日帰りしてしまったことも


2年前のこの作品の初演にも駆けつけている事も
ドラマが終わり 吉松さまの音楽に出会えない寂しさの中にあったこの作品の初演
あの時の吉松さまの曲を聴きたいという 恋人に会いに行くかのように音楽に恋している気持ちが甦ってきて  ちょっと恥ずかしいようなこそばゆいような感じ

そんな面映ゆい心持で2年ぶりに聴くその3楽章の小品のなんて雅で可愛いこと!

The和

古都・京都にいて吉松さまのこの曲を聴くことの出来る幸せ

音楽をとても文学的に捉えるマエストロ藤岡の導きと関西フィルの演奏で聴くことの出来る幸せにどっぷりと身を任せた

Ⅰ六波羅
曲の始まりからして雅で曲調からして雅楽
通奏のハープが心地よく  面白いもので この世界観においてはハープというよりも琴の音色に聴こえてくるから不思議だ
吉松さまの音楽にある 揺らぎ感
それがハンパない!!
Ⅱ孤月
チェロのソロの音色が素敵
Ⅲ京童
♪まる たけ えびす に おし おいけ あねさん ろっかく たこ にしき~♪
お馴染の京の通り名の旋律が遠くから聞こえるように鉄筋で奏でられる
なんとも可愛い

こんな小さな作品でも知らず知らずに私の心のひだにそうっと入り込んでくる
それが吉松作品

この作品演奏後 共にこのコンサートを楽しんだ友のひとりが(ちなみに「平清盛」話題が通じる方)
吉松さんの音楽「いいねぇ 平清盛だねぇ」と一言
とても心に浸み入っているのが伝わるひとことだった

なんだか この友が吐露する そのひとことがとても嬉しくて!
その言葉少なげな言葉の奥底に沈む感動の大きい事が伝わってくるから!
そう
この友 私が随分大人になってからの友人
ちょうど吉松さまと同じ歳の頃で
言葉少なげだけれど その情感の豊かな事
読書が大好きで読後感を語り合うのがお互いに好きな事
ミュージカル観劇を心から楽しんでおられる事
饒舌に語るのではないのだけれど 欠かさず必ず劇場に足を運ぶその姿にこそ心が見えてくる
そんな つねに心平らかで温かで飄々としている感じ
なんだか吉松さまに似ているわ 女・吉松さま!なんて変な事考えながら(笑)
幸せに満ちた気持ちに包まれていた



◆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18 ※金子三勇士 

大人気のラフマニノフ・ピアノコンチェルト

この曲は 私の中では辻井伸行さん&マエストロ佐渡裕&ベルリン・ドイツ交響楽団の演奏が(NHK-FMで聴いて衝撃を受けた!)印象的

独奏の金子さんはお名前は存じ上げていて気になっていたけれど生演奏を聴くのは初めて
なんと1989年生まれの25歳!
あら! 私の娘と同じ歳(笑)

お若い~
そして何だか人懐っこい雰囲気の方
そのラフマニノフはとても男性的でダイナミックだった
そしてマエストロ藤岡&関西フィルの演奏も!
奏者が変わると曲ってこんなにも雰囲気が変わるのだなぁと改めて感じたしこれからが益々楽しみなピアニストだった

そして そんな男性的な演奏の後のアンコールは正反対の雰囲気でショパンの夜想曲・遺作
これがとても良かった!
金子さんの演奏から この雰囲気の違う2曲を聴けて良かった

ここで抱いた別の感情をひとつここに置いておこう

ラフマニノフの協奏曲第2番
常に鐘の音が聞こえてくるような その曲は 今でこそ誰もが知る有名な曲になっているけれど
ピアニストが書いたこのコンチェルト
初演はラフマニノフのピアノ独奏だったという

コンポーザーピアニスト天平さんもコンチェルトを書く!と宣言されている
そのコンチェルトも この曲のように最初はピアノ独奏で演奏され
その後に がっしと関西フィルとの絡みで聴いてみたいものだ
ダイナミックなタッチ
しかし繊細さも同時に持ち合わせている天平さんの曲はオーケストラと在る事でよりその良さが際立つと思う
映像に映し出されなくとも 観客のそれぞれに浮かぶ情景
美しく心洗われていくのが手に取るように想像出来る

そんな時に必ず立ち会っていたいな



◆シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43 

シベリウス
今年はシベリウス生誕150年の年だそうで

私にとってはあまり知らない作曲家
しかしマエストロ藤岡や吉松隆さま  舘野泉さまといった私が魅了される音楽家達が口を揃えて
というか  その音楽家人生に大きく影響しているだろう事が容易に見てとれる作曲家なのだから
これから聴いていきたいなぁと気になっている作曲家であり
マエストロ藤岡の演奏を聴くために足を運んでいれば自然と聴く機会を与えていただけるという次第

何故ならマエストロ藤岡がシベリウス交響曲全曲ツィクルスに取り組んでおられるからだ

今回の2番は私でも  嗚呼この曲~と聴いたことのある旋律が主題の有名な交響曲
ただし交響曲として通して聴くのは初めて!
楽しみだった

そしてそのシンフォニーはtただただ心をフラットにして聴いていればいいのだった
そう思える作品だった
自然にただただ抱かれているあの感じ

そうしてオーボエとチェロの心地良い音色 牧歌的な中 そう シベリウスを聴いていると訪れる私には珍しい眠り…
今回もまた一度眠りに落ちた
しかしそうはして居られないクライマックスへ そう あの有名な旋律が大きなうねりで私達に向かって来た
そしてふるわせた

マエストロ藤岡と関西フィルが自在にシペリウスの世界を届けて下さる
静に漂っているだけという私達はただただその波に揺られているだけで緩急という感動に導かれる

心地良かった~
聴きごたえのある良いシンフォニーだった~


◆アンコール ダニーボーイ

このアンコールがまた良かったのね~
この牧歌的な雰囲気ね!
ダニーボーイというと石丸幹二さんのアルバム収録曲が浮かぶのだけれど
そうそう 関西フィルと石丸さんの共演も再度実現していただきたい!

是非 城陽定演で!!



マエストロ藤岡と吉松さまとシベリウス

三役揃い踏みというのかしら
3点セット(失礼! いやいや 最高の讃嘆のつもり 笑)
切っても切れない関係なのだろうな

とっても素敵!

(私の中での三役揃い踏みは マエストロと吉松さまと舘野泉さまなのだけれどね!
 まだまだシベリウスの魅力を理解するには初心者なので)

そして その三役にまた出会う機会がありそうだ

次回のその素敵コンサートは2ヶ月後

関西フィル第269回定期演奏会(10/30 ザ・シンフォニーホール)

シベリウス交響曲ツィクルス第4夜
これまた嬉々として足を運ぶのだ(笑)


~コンサート番外編~

昨日 共にこのコンサートを楽しんだのはコーラス仲間
その仲間たちと 終演後 思わずつぶやいた
「このステージに来週は私達が立っているのよね」

がんばらなくちゃ!