「きっぱり言い切る男に賭けてみたくなる」

 

《東京都知事選に出馬表明》安芸高田市・石丸伸二市長に大きな期待を抱くオバ記者「きっぱり言い切る男に賭けてみたくなる」

 

都知事選出馬を表明した石丸伸二市長(時事通信フォト)

都知事選出馬を表明した石丸伸二市長(時事通信フォト)© NEWSポストセブン 提供

 7月の東京都知事選挙に出馬表明した広島県安芸高田市の石丸伸二市長。YouTubeを通して石丸市長を見守ってきたというのが、体験取材を得意とする『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子だ。オバ記者が、石丸市長への期待を綴る。

 

7月の東京都知事選挙に出馬表明した広島県安芸高田市の石丸伸二市長。YouTubeを通して石丸市長を見守ってきたというのが、体験取材を得意とする『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子だ。オバ記者が、石丸市長への期待を綴る。

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「おお〜っ。都知事選に出るのかぁ!」という絶叫が日本全国から聞こえた気がしたわよ。

 広島県安芸高田市の市長・石丸伸二さん(41才)が「7月の東京都知事選挙に出馬します」と表明したのはご存じの通り。

 私はこの1年間、1日も欠かさず、朝に晩にユーチューブで石丸市長を見てきた。そして、5月10日の市役所での記者会見で「次の市長選には出馬しないでいようと思います」と発言したとき、すでに腰を抜かしていたんだよね。そしてその腰が上がらないまま、頭の中は、石丸市長が次に何をやるか、そのことばかり考えていた。なにしろ彼は私の夢の中にまで出てきたんだから。これほど“気になる男”が現れたのは67才のいままで一度もなかったことだ。

 

 私が彼を知ったきっかけは、市長と中国新聞の若い記者との大バトル。ユーチューブを流しっぱなしにしていたら、男同士の舌戦が聞こえてきてね。若い記者が市長の前に上司を連れてきたら、「今日は父兄同伴ですか?」と、煽る煽る。で、この市長の経歴を調べたら、地元の公立高校を経て京都大学経済学部に進み、三菱UFJ銀行のニューヨーク支店でアナリストをした後、危機に瀕していた故郷に帰って市長になった、とある。

 

 あのさ。世界の中心でビジネスマンをしていた人が生まれ故郷の財政再建のために帰ってきた、というだけでもドラマにならない? それが市長に就任するや、リアルで新聞記者や地元ベッタリの老議員とバトっているんだよ。「市の財政再建のためなら、燃やせるものはなんでも燃やす」と言って、居眠り議員がいるとXのつぶやきで糾弾するわ、市議会議員の不可思議な一般質問をユーチューブで配信するわ。

 

“焚き付け”にされた議員はたまったモンじゃないと思うけど、それを続けていたら、市の公式ユーチューブチャンネルの登録者数は26万人超で、自治体では日本一。月々数百万円が市の収入になっているという。

 

その知名度があって、ふるさと納税もたったひと月で前年1年分の寄付額に達したという。

それもこれも、石丸市長の言う「政治のエンタメ化」が当たったからよね。

 

 安芸高田市は人口約2万7000人の内陸の市で、石丸市長の就任前、財政は破綻しそうだった—なーんてことは、都民の私が本来知るはずがないんだよね。それがいまや、“若造市長”のやることなすことが憎くてたまらない老議員のことまで知るに至ったのは、ひとえにSNSのおかげ。すごい時代になったと思う。

 

 時代の変わり目といえば、8年前、小池百合子都知事が「崖から飛び降りる覚悟で」と言って出馬したときも、調子づいた私は、ド緑色のチュニックを着て街頭演説を聞きに行っている。おじさんたちを手玉に取っている彼女に声援を送りたくなったのよ。でもその4年後、彼女の学歴詐称疑惑が出てきて、それがスッキリ解決しないまま続投。あ〜あ、選挙って、私たちの思いとは違う力で決まるんだね。「あ〜、つまんね〜」と思いかけていたの。

 

 そこに、トライアスロンが趣味の爽やかな独身、石丸くんが手を挙げたのよ。これを騒がずに何を騒ぐよ。

 こうなると、小池百合子さんがカイロ大学を卒業したかどうかなんて、どうだっていいよ。それより、「このままでは地方の衰退が止まらなくなる。一極集中の東京を解体して分散しないと日本がもたない。これまでの政治を変える。そのために人生を賭けたい」ときっぱり言い切る男に賭けてみたくなるんだよ。

 地方の衰退といえば、“乗り鉄”歴50年の私は、地方都市の駅前の景色の変遷を自分の目で見ている。この10年はガッカリを通り越して、見なかったことにしているもんね。人口減ってこういうことか、東京一極集中ってこういうことかと、揺れる電車の中でそんなことばかり考えるようになったんだよね。

 

 石丸さんは「清き一票を私に」なんて言わない。出馬の覚悟を語った後、「みなさんの健闘を祈ります」と言うんだわ。

根っからの仕事人間で安易な妥協はしないから、安芸高田市の議会では、相手が親世代であろうと、男性であろうと女性であろうと容赦なく論戦を挑んできた。それが小気味よかった。その彼が小池都知事とどんな論戦をするのかしら。

いや、機を見るに敏な知事のこと。逃げるか?(5月20日時点で出馬表明はしていない)

 いずれにしても、4年前まで無名だった元銀行員が都知事になるかも、ってだけで、67才の私は血の巡りがよくなっちゃう。

 

 

【プロフィール】

「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2024年6月6日号