〈ロシアに小国ウクライナが勝てるわけない。勝ったと思った瞬間に、核が炸裂するであろう〉いなば食品の社長(70)が全社員に送りつけた“怪メール”公開「『社長のツイッター』と揶揄されています」

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文春オンライン

稲葉敦央社長 ©時事通信社

〈いなば食品・稲葉敦央社長(70)が勤務中の社員に自民党二階派候補者の選挙手伝いを“強要”していた! 「『投票をお願いします』と電話をかけさせられた」〉 から続く 【画像】〈核が炸裂するであろう〉社長が送りつけた“怪メール”を読む  新入社員へのボロ家ハラスメントや工場の食品衛生法違反、社長による猫ネグレクトなど次から次へと問題が噴出する、缶詰製造大手のいなば食品。 「週刊文春」編集部には、電子版で 第1弾 の記事を配信した4月10日以降、同社の社員や関係者らから無数の情報提供が寄せられている。  なかでも群を抜いて多いのが、稲葉敦央社長(70)が社内に宛てて送る異様なメールに関するリークである。現役社員が言う。 「(社長からの)全社メールが朝の4時からだいたい深夜0時くらいまで断続的に送られてきます。初めて目にする人はギョッとするかもしれませんが、いなば社員は慣れ切っていて『また来た』くらいにしか思っていない。あまりの頻度と稚拙な文面から一部では『社長のツイッター』と揶揄されています」  どんなメールが来るのか。その一端を紹介しよう。

〈「条件つき」降伏がベスト〉

 例えば2022年2月から続くロシアのウクライナ侵攻について。敦央社長はロシアのプーチン大統領への支持を隠さない。同年5月11日のメールにはこう書かれている。 〈この戦乱はだから=だれが仕掛けたのか、それは明白だ。(中略)ここはゼレンスキーをすぐに退陣させ「条件つき」降伏がベストだ。ロシアに小国ウクライナが勝てるわけない。勝ったと思った瞬間に、核が炸裂するであろう。。sc〉  ちなみに「sc」というのはSHA-CHOU(社長)の略。“敦央社長用語”だ。

「日本の大統領なら」と題したメールを全社員に送信

 2020年10月7日のメールでは、今月10日、職業差別と受け取られかねない発言をした責をとり辞職願を提出した川勝平太静岡県知事(75)に言及。日本学術会議の新会員候補6人の任命拒否問題をめぐって「菅義偉首相の教養レベルが図らずも露見した」と当時の菅首相を皮肉った川勝氏に賛意を寄せ、「日本の大統領なら」と題したメールを全社員に送信し、こう大絶賛した。 〈日本にもし「大統領」ができるなら、川勝知事がそれにふさわしい。〉  だが、敦央社長のメールはこんなものではない。いなば食品の社員たちは常にこうした“怪メール”に閉口させられ続けてきたのだ。  現在配信中の「 週刊文春電子版 」では、いなば食品の稲葉敦央社長の怪メールの内容を詳しく紹介している。また、川勝知事との“親密な関係”や、勤務中の社員への二階派元議員への投票依頼電話“強要”、そして「週刊文春」の報道に対する危機管理なども併せて報じている。 《CIAOちゅ~る製造元》いなば食品の“女帝”稲葉優子会長の“猫ネグレクト”「1年ほどで急速に愛情を失います」 へ続く

 

 

「いなば食品祭り」明日は我が身?社員のリークが止まらない“ダダ漏れ企業”の教訓

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● 企業の不祥事、「社員のリーク」によって新たな展開へ  「CIAOちゅ~る」で知られる、いなば食品の社内情報の“タダ漏れ”が止まらない。 【画像】著者プロフィールを見る  今春入社予定だった新卒社員の9割が、社員寮として「ボロ家」をあてがわれるなど待遇の不満から内定辞退をした、という文春報道を皮切りに、同編集部への内部告発窓口「文春リークス」や、暴露系インフルエンサーとして知られる滝沢ガレソ氏のもとに、「現役社員」から続々とタレコミが寄せられているというのだ。  それらの一部は、順次公表されSNSで拡散されている。例えば、週刊文春がいなば食品の「女帝」と報じた稲葉優子会長に関しては、社員への嫌がらせをした時の音声や写真、さらには社員に掃除をさせるという自宅内を撮影した動画までが出回って、ちょっとした「祭り」になっている。  さて、こういうニュースを聞くと、企業の危機管理担当者は「我が社がこんなことになったらと想像するだけで恐ろしい」と暗い気持ちになるだろう。  無理もない。当初、いなば食品が批判されていたのは「新卒社員へのひどい扱い」というピンポイントな問題だった。しかし、現役社員たちが経営一族の横暴な振る舞いや、社内の「謎ルール」をメディアやインフルエンサーにリークしたことによって、「企業体質」へと問題が拡大してしまったのだ。  つまり、「社員のタレコミ」によって新しい燃料が続々と投下されていくことで、不祥事や不正がどうこうではなく、「反社会的企業」というイメージが定着して、全国民から叩かれるようになったのである。  その典型的なケースが、ビッグモーターだ。こちらも当初問題になったのは保険金の不正請求だったが、相次ぐ社員のタレコミで、ブラック企業体質や、前社長の息子の常軌を逸したパワハラへと注目がシフトして、主にそちらが叩かれるようになった。  つまり、令和の企業危機管理というのは、迅速に謝罪文を出すとか、社長の謝罪会見を開いてどうこうというレベルではなく、「社員のリーク」をどこまで抑えていくかということが、成否を分ける鍵となってきているのだ。