裏金処分の線引き「500万円」が裏目…大荒れ自民党が3つに“分裂”、怒りの矛先が岸田首相に

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岸田首相の基準に自民党内は大荒れに反発、収拾不可能…(C)日刊ゲンダイ

 収拾がつきそうにない。  岸田首相は2日、裏金議員の処分に向け、党幹部と協議した。処分対象は収支報告書に不記載があった安倍・二階両派の議員ら85人のうち、派閥幹部のほか、2022年までの5年間の不記載額が「500万円以上」の39人。会計責任者が立件された岸田派会長だった岸田首相自身と、不出馬表明した二階元幹事長の処分は見送る方針だ。 岸田首相が新年度早々から炎上…新社会人へのメッセージ大不評、参院答弁は《放送事故レベル》  安倍派の衆院側、参院側でそれぞれトップだった塩谷元文科相と世耕前参院幹事長は「離党勧告」と重い処分が科され、「500万円以上、1000万円未満」は「戒告」と、比較的軽い処分が下される見込み。4日にも正式な処分が決定する。  この「500万円」の線引きを巡って、自民党内は大荒れだ。不記載額が1289万円で処分対象となった菅家一郎元復興副大臣は「(基準が)非常に分かりづらいし、私の取り扱いも含めて非常に不満だ」とブチまけていた。  一方、「500万円未満」だった議員も不満を募らせている。処分対象から外れた安倍派議員の秘書はこう言う。 「5年で500万円ということは、年間平均100万円ということ。販売ノルマを超えてこれだけのパーティー券をさばくのは、普通では無理です。キックバックを期待して意図的に売ったとしか思えない。逆に、500万円未満の議員のキックバックは“事故”みたいなもの。コロナ禍で販売ノルマが減っていたのに、パー券を売りすぎてしまった人が多い。500万円以上の議員と一緒にしてもらいたくないですね」

全員、処罰すべき」と無派閥議員

500万円ボーダーで“処分ナシ”議員も。

そもそも国民は納得せず(安倍派「清和政策研究会」最後の議員総会)/(C)日刊ゲンダイ

 揉めているのは裏金議員だけじゃない。裏金とは無関係の議員も、彼らなりの事情で怒っている。無派閥の青山繁晴参院議員は2日、フジテレビの取材に「処分を免れた人が次の選挙で主権者に説明できるんですか。『わたしは正しい』とはまさか言えないでしょう」と、“処分ナシ”の議員が出ることに憤っていた。  無所属の中堅議員はこう言う。 「総理の基準はよく理解できませんね。500万円で線を引いたら、499万円だった議員はおとがめなしでしょ。それでいいんですか。国民からしたら、10万円だろうと500万円だろうと不記載に変わりはない。全員、処分すべきですよ。私は裏金なんか関係ないのに、地元に帰るとお叱りを受けます。サッサと厳しい処分を下してもらわないと困りますよ。総理の対応は中途半端で遅い。

まあ、いつものことですがね」 

「裏金が多かった議員」

と「少なかった議員」

「無関係だった議員」

で党内は3分裂。

このままでは、岸田首相への反乱が起きかねない。 「全員処分してしまえば党内の猛反発は免れない。かといって、裏金が多い議員を処分しないと国民の怒りを買うのは確実です。総理としては、党内の見方と世間の見方でバランスをとって、最終的に『500万円以上』に基準を置いたようだ。苦肉の策ということです」(官邸事情通)  前出の中堅議員は「岸田総理で選挙を戦う気はない」と吐き捨てた。下手をすれば「岸田降ろし」勃発もあり得る。いよいよ立ち往生する可能性が高まってきた。