治癒力や免疫力を増加させたわけではなくて、元々持っていた身体の能力を、自ら下げていた原因の一つを取り除いただけ




まず、結論的な言い方をすれば、身体には、自分自身を修復する能力が元々あって、ちょっとした病ならば、放っておいても、それほど時間もかからずに治るようにできています。


ではなぜ、すぐに治る人と、なかなか治らない人がいるのでしょうか?

一般的には、その人の持っている治療力、または、免疫力の違い、などと言われると思います。その結果、この治癒力や免疫力を向上させる、という謳い文句の商品が、たくさん市場に出回ってくることになります。

飲んだり食べたりすることで健康になれるのであれば、文字通り、美味しい話です。食事を健康的なものに変え、身体の働きを補助するようなものも適宜採り入れていければ、その効果は目を見張るものがあると思います。


ただ、ここでよく考えて頂きたいのは、健康的な食事が治癒力や免疫力を増加させたわけではなくて、元々持っていた身体の能力を、自ら下げていた原因の一つを取り除いただけ、ということです。


そうなのです。治癒力や免疫力というものは、基本的な生理機構の働きなので、それ自体をどうこうできるものではありません。一見、こうした生理的な能力を向上さることができたように思えることがあるかも知れませんが、能力そのものは変わっていないのです。


ですから、治癒力や免疫力を向上させるもの、よりも、身体の生理機能を低下させているものを取り除くこと、を優先させればいいということがわかります。


身体は弱ってくると、まず食べられなくなります。食べるということは、それだけエネルギーを消耗するということです。ただでさえ消耗するのに、過食したり身体のストレスになるような食べ物を常食していれば、確実に生理的な能力は低下するでしょう。


また精神的なストレスも、身体の能力を大きく消耗させる原因になります。極限まで身体の消耗を減らしたスポーツにフリーダイビングがあります。素潜りで酸素の消費を抑え深い海に入って行きます。その時にやってはいけないことがあるそうです。それは、マイナスの思考をすること。深海でそれをしてしまうと一気に酸素が消費されて意識を失いってしまうそうです。マイナスの思考としてのストレスも、確実に生理的能力を低下させるものとなります。


そして、これらの要素に全て関わってくるものが、血流ということになります。つまり、どんなに良い食べ物を食べたとしても、またどんなにストレスのない生き方をしていたとしても、ベッドの上で寝たきりになっていては、元々持っている能力を引き出すことはできないのです。


一時は丸くうずくまっていても、時間の経過と共に身体を動かして血流を良くする必要があります。機械と違い人の身体は動くことによって再生するようにできています。それはこの世界そのものが、そのように出来上がってきたからに他なりません。結局のところ、お薬でも、手術でも、血流が悪ければ修復は進まないのです。


中には、自分では動かすことができないという人もいますでしょう。そんな時は、代わりに身体を動かしてくれる道具として、鍼灸などの治療を上手に利用すればいいと思います。


鍼灸は、身体の外側から刺激をして、血液の流れを良くしていくものです。運動をしたのと同じような血流の状態を人工的に作り出すのです。紀元前に書かれた書物には、こう書かれていました。最近の都市に住んでいる人は運動不足になっているので体操やあん摩や鍼灸をしないといけないと。


ここまででの話を要約すると、身体の本来持っている能力を出しきるためには、次の三つのことに注意をする。一つ目は食べ物。二つ目は心のストレス。三つ目は身体を動かしての血液の流れ。ということになりますね。


その他にも問題は、まだまだあるとは思いますが、治り易い人と治りにくい人の違いは、こんなところにも原因があるようなのです。