これがお腹の周りに脂肪が付く理由なのですね。皮下脂肪でコーティングしているわけです


 

 

さて、このように身体が冷えることはとても問題があるわけですが、ただ温めれば解決するかと言うと、そう簡単にいかないこともあります。身体が温まりにくい状態というのがあります。


これは皮下脂肪がこれにかかわっています。皮下脂肪がたくさんついてしまうとか、悩みの種になっていますが、この脂肪自体はどうも断熱材の働きをしているようです。


これまで話してきたように、副交感神経を使って内臓を働かせて食べ物をエネルギーに変えていくためには、熱が必要になります。お腹が冷えていては困るわけです。つまり、お腹が冷えないように周りを断熱材で保温しているわけです。


これがお腹の周りに脂肪が付く理由なのですね。皮下脂肪でコーティングしているわけです。これはお湯を入れるポットも同じ構造をしています。表面をコーティングして熱が逃げないようにしています。


今のものはおそらく性能が良くなっているのでそんなことはないと思いますが、昔のポットは、表のつるつるしているコーティングを剥がしてしまうと熱が全部逃げちゃいました。随分前のことですが、ポットが汚れていたので金タワシで表面をこすりました。


それで「あー落ちる落ちる」なんて言っていたら、表面のスベスベしたコーティングがなくなってザラザラになっちゃいました。そのザラザラを触ってみるとポカポカ温かくなっているんです。


今まで冷たかっポットの表面が、なんか温かいなーと思っていたら中のお湯が冷たくなっていました。これってそういう役割なのかと初めてわかったのですけれども、熱を逃がさないようにしていたわけです。


ということは、身体の場合、コーティングして保温する必要が無くなれば、断熱材もいらなくなるわけです。ですから断熱材を取りたかったら、身体の中を温かくすればいい、ということがわかります。


その反対に、身体は冷えていたり、さらに冷やすようなことが重なっていけば、断熱材は増していくことになります。もう一つ、断熱材というのはとても厄介なことに、熱を逃がさないのと同時に、外からの熱も伝わりにくいということもあるのです。


外からいくら温めても中々温まりません。その上、身体というのは冷やされるとそれに対応して、熱を起こす反応が起こります。身体が冷えているから脂肪でコーティングする。脂肪があるから熱がこもる。すると身体の中が熱くなるから冷たいもので冷やす。さらに脂肪でコーティングされる。


これが冷えと脂肪の悪循環です。この循環を断ち切るためには放熱のルートを確保しつつ、大きい熱源でポイントをついて繰り返し身体を温めていくしかありません。

 

2019年講座、意識と生命の意味より