花粉の量の問題ではなく血流の問題です。

花粉シーズンがやってきましたので、一つ花粉関連のお話をしてみたいと思います。さて、この時期の症状は、花粉の量で決まる、と思われがちですが、実は違います。すでにお気づきだと思いますが、例えば、多く花粉が飛んでいる日でも、比較的症状が楽だったり、またその逆もあります。

いつものように、結論から先に言えば、花粉の時期の症状は、気の流れの良し悪しにかかっています。気の流れが良くなれば、格段に症状は、楽になります。では、ここで言う気の流れとは、どんな状態のことを言っているのでしょう。東洋医学では、気血といって、気の流れと血の流れは、表裏一体同じように流れていると考えます。気が流れれば血も流れる。血の流れの悪いところは、当然、気の流れも悪いということになります。

そこで、気の流れ、だとちょっとイメージしにくいかもしれませんので、血の流れ、の方から重点的に考えてみることにしましょう。血流を良くするといわれるものは、世の中にたくさんありますね。運動もその一つです。お風呂もそうです。また少量のアルコールも血流を良くしてくれます。これらのことをしている最中は、案外、アレルギー症状は影を潜めていることが多いです。

でも、症状が影を潜めることと、治ってしまうこととは、全く別のことで、運動が終わって、血流が元に戻れば、また症状が顔を出してきます。それは、お風呂も同じです。入っているときは、血の巡りが良かったので、花粉の症状は治まっていましたが、出てしまうと元に戻ってしまいます。お酒の場合、少量飲んでいる時は、巡りが良くなるのですが、量が増えてくると、今度は逆に流れが停滞してきてしまうのです。

ただ、こうして見てみると、血流が良い状態さえ維持できていれば、症状が出るのを防ぐことができそうに思えます。東洋医学では、事あるごとに、体を冷やすな、体を冷やすなと、うるさいくらい言います。単純に考えても、冷やすということは、組織が硬くなる、という意味と同じことだと想像できるのではないでしょうか。寒くなると、ギュッと縮こまる体勢になるのは、自然なことです。そなると、肩や背中が凝ってきますね。

血流が悪くなる、ということは、冷えている、という体の状態のことを言っているのと同じなのです。

つい最近、アレルギー症状が強くなる時間帯が話題になりました。一日の中でピークが2つあって、一つは明け方、もう一つはお昼過ぎでした。今までの話から考えれば、もっともなことだとわかります。明け方は、一番体温が低下する時間帯であり、また睡眠という、ほとんど体の動きがない時間を過ごした後です。お昼過ぎの時間は、昼食後、胃腸に血流が集中して、体の他の部分の血流は、低下しています。つまり、ここでもやはり気血の流れの問題が、確実に見て取れるのです。

花粉の治療では、こうした体の血の流れの悪さを、はり灸で解消するように治療していきます。確実に症状を変えていくためには、全身的に血流を良くすることが大切ですが、症状に近い部位としての耳の治療も、血流を良くするのに大変役立つ部位だと言えます。あまりツボにこだわらなくても、耳を引っ張ったり、揉んだり、押したりしていると、頭と顔がポーッと熱くなってきます。熱くなるのはもちろん、冷えるの逆ですから、血の流れが良くなった証拠になります。そうなると、それだけでだいぶ症状は治まってきます。

また、面白いことに、耳のツボに治療として極少のハリを入れて置くのですが、当初非常に強く症状を抑えてくれているのに、しばらくすると、効果が低下してきてしまいます。もう効果がなくなったのかなと思割れますが、実は、軽く体を動かしていただくと、また効果が元に戻って出てくるのです。貼り付けてあるハリの刺激は持続しているものの、それが伝わる体の方の流れが停滞してしまうと、効かなくなったように見えてしまうのです。

民間などで花粉にいいといわれる物のほとんどが、スースーしたりして気の流れを良くしようとする物です。ミントだったり、葱だったり、辛いものだったり。ですから、血の流れ、ということをメインに考えて対処していくと、思っている以上の結果が出てくると思います。つらい時は、どうしても心も体も、前かがみになって力が入ってしまいます。これだと余計に気血の流れを悪くしてしまいます。

以前から、太極拳などで気の流れを良くすると、症状が改善することはわかっていました。瞑想などもいいでしょう。様々なストレスから解放されて、気血の流れを保つことができれば、だいぶ症状は、良くなるはずです。花粉の量に、一喜一憂しても、あまり意味がありません。問題改善の鍵は、自分の体の方にあるからです。