子どもは手のぬくもりで育つようにできている。


子どもの成長にとって、肌ざわり、というのは、とても大切な要素と言うことができます。子ども自身が、肌に触れる、ということと、肌を触れられる、という二つのことが、これから成長して、この世界で生きていくための大きな財産になります。


成長するためのホルモンの分泌も、また仲間との関係を作っていくうえで重要な、心を安定させるホルモンも、肌を触れられることによって、十分、分泌されるようになるのです。


昔から、たくさんの手、のもとで育てられた子どもは、いい子に育つ、と言われてきました。そのことが、現代の科学によって、実証されてきました。低体重で生まれて来た子どもにとって、看護をしてくれる人の手で、毎日触れることは、成長にとって欠かすことのできないものなのです。


この肌に触れる、という簡単な刺激は、子どもにとって、何よりも優先される大事な刺激と言うことができます。


そうは言っても、現代の社会においては、大家族のたくさんの手、による子育など、なかなかできるものではありません。親も子も、いつも時間に追われる急がしさの中で、十分に触れ合う機会は、実際のところ、少なくなってしまっているのかも知れません。


例えば、夜中に突然起き上がったり、キーキー声を出して、じっとしていられなかったり、お友達を、噛んでしまったり、すぐに風邪をひいて、お熱を出したり、いつも鼻水や、涙を出していたり、アイスばかり食べたがったり、子どもなのに、なかなかウンチが出なかったり、何年も毎日、おねしょをしているなどです。


こうした症状の多くが、とてもとても軽~く、なでるように肌に触れてあげるだけで、変化していくように、体が作られているようなのです。


そう、人は自然に、背中をなでてあげたりして、相手を元気付けようとするものです。これは最新の皮膚の科学でも実証されている、体自身が回復していこうとする働きをスタートさせる合図でもあるのです。


ただ、すべてそれだけで良いかと言えば、もちろん、お薬などの助けが必要な時もたくさんあります。そんな時は、ためらわずにお薬を使って、同時に体をさすってあげることをしてください。


勘違いされる方も多いですが、こうした身体の知恵から導き出された東洋医学と、科学的な西洋医学は、決して相性の悪いものではありません。むしろ、一緒にやればやるほど両方の良いところを相乗して、何倍もの効果になるものです。


でも、どうしても自分でやるのは、心配だと思われる方は、どうぞ、東洋医学の治療院にお越しください。鍼灸治療院は、病院と同じように、世間に向けて標示していい科目、というのが法律で決められています。それが、はり、灸、そして、小児はり、なのです。


実は、鍼灸院というのは、昔から、子どもの体を調整してきた、専門家でもあるのです。


治療院が、子どもたちに対して行う治療は、それはそれは、とても気持ちの良い軽い皮膚の治療です。生命力に満ち溢れた子どもたちの、回復のスイッチ、を入れるには、それで十分なのです。