ゆっくりと触れることに痛みをやわらげる作用がある

 

この時反応する神経がC触覚線維なのだ。先に出てきた痛みをブロックするために働いていた神経だ。その後の実験でもゆっくりなでたほうが、いいことがわかった。体の痛みも心の痛みも一緒である。ゆっくりと触れることに痛みをやわらげる作用がある。C触覚線維は知的機能を司る前頭葉や

 

感情や情動を引き起こす辺縁系との連絡が行われていて、愛情や嫌悪感といったものに多大な影響を与えている。触れるという行為は呼吸や血圧、ホルモン、神経、色々な感情に効果があることがわった。ただ人の場合、触れるという情報に色々な意味を乗せて複雑にしてしまう。その点動物の場合はシンプルに

 

触れるという行為だけを受け取ってくれるので、その効果はよりははっきりとしたものになる。私の犬二匹はそれぞれ持病があって、とても体調が悪いことがあった。その際色々と試しながら治療をした。その結果、何が一番効果があったのかと言えば、ゆっくりとさすってあげるように治療をするやり方

 

これまで話しきた小児はりの方法だった。相手は犬なので私に忖度はしない。その時の正直な反応があるだけだ。撫でるように治療した時だけ、しっかりと立ち上がって歩けるようになったのだ。以前TV番組で森泉さんが、下半身が麻痺して歩けなくなった犬に美顔ローラーを使ってころころマッサージをして

 

回復したと言っていたが、正にそれは犬の体の反応をよく見ている確実な方法だったと言える。この物言わぬ動物の反応こそが、私の根拠であり確信なのだ。これを基にした、やはり忖度のない子供たちの反応による小児の鍼こそ、鍼灸治療の真実の姿だ。子供に効かない鍼は、暗示の域を出ないものだと言える

 

風の子セミナー『皮膚で聞くボイスヒーリング・子どもの皮膚を通して見た世界』より修正加筆