個人的な印象では、風邪薬よりさらにいい感じがしています。

 

少し前ですが、学生がひどいめまいで、学校に来る前に耳鼻科によって来たということでした。簡単な検査をしてみると、確かに回転性のめまいの状態が続いています。そこで、私はめまいにとても効果のある、耳のツボに置き鍼(長さ0,3ミリ)を貼り付けたままにしました。

効果はすぐに現れました。めまいは、徐々に軽くなっていき、授業も休むことなく出ることができました。それで、一件落着のお話のようです

が、今日、話したいのは、そこまでのことではなくて、その続きからです。

 

数日たって、だいぶめまいも落ち着き、もういいだろうと、耳のツボの鍼を外したとたん、また、めまいがしてきた、というのです。ポイントは、そこです。耳のツボは、アメリカ軍も認めるほどの、鎮痛、消炎、ストレス緩和作用がありますが、それは、からだの持つ機能を最大限に生かした、脳内での痛みコントロール結果なのだろうと考えられています。とても似ている作用のものとして、麻酔が上げられるでしょう。

 

よく考えると分かりますが、例えば怪我をして痛みがあるすると、その痛みが無くなるためには、怪我が治るまで待たなければなりません。

しかし、例え怪我があったとしても、麻酔を使えば、痛みは感じなくなってしまいます。つまり、治療をして、すぐに痛みがなくなった、という現象は、からだの中にある、麻酔機能によって、一時的に避難している状態で、決して修復が終わったわけではない、ということなのです。

 

そう考えると、風邪薬になんだかよく似ています。風邪の症状を抑えて感じないようにしていますが、風邪が治っているわけではないですね。ちなみにですが、風邪の時に、耳のツボは、抜群に効きます。風邪薬と大差ないというか、個人的な印象では、風邪薬よりさらにいい感じがしています。

 

整理してみますと、即効性をうたう治療と、徐々に変えていく治療とでは、役割が違う、ということなのです。そのことは、現在たくさんのSNSなどの情報を見ていれば、すぐに確認できると思います。非常によく効く治療というのは、即効で症状を緩和しているようですが、後日、同じ治療を、同じようにしています。

 

その答えは、それが脳内の一時的な知覚を利用したものだからです。また、徐々に効果を上げていく治療の場合は、細胞を介して長期の記憶に持ち込むもの、ということができるでしょうか。その場合には、からだの方が、治療を記憶していくために、回を重ねるごとに、反応の速度が増していきます。そうです、スポーツのトレーニングと、全く同じ現象なのです。

 

いち鍼灸臨床家の私は、それこそ大学病院にあるような検査機器も、またお医者さんのような知識も持ち合わせていません。ですから、現れた現象と結果を見て、その事実を思考していくしかありません。

 

いま、自分は何をしているのか、この方法と、その方法は、どう違うのか、そこを考える足がかりになれば、と思い今回のお話を書いてみました。目先の結果だけを、判断の基準にしてしまうと、大きなものを、見逃してしまいかねません。そんなお話でした。https://www.shinq-compass.jp/salon/detail/33687