治療法の優劣云々を、この期に及んで、もはや語る必要はないでしょう。

 

しっかりと確認しておいて欲しいのは、からだというのは自分の身を守るために、幾重にも防御機構を働かせているということです。外からの刺激が、ダイレクトで中枢に伝わらないようになっているのです。それは、お薬でも物理刺激でも同じです。

逆に言えば、その防御機構を突破してしまうような強さの刺激だと、からだの方がショック状態に陥ってしまうのです。そのために、外部からの強い刺激は、かえって局所的な影響に留まることが、多いのです。強い刺激に案外耐えられる背後には、そうした仕組みが関わっているようです。

そこから考えれば、外からできることは、限られてきます。その防御網のスイッチを切って中枢に進むか、または、防御網自体を破壊してしまうかの、いずれかになるでしょう。防御網を破壊するのは、同時にかなりの精気の消耗も、覚悟しなければなりません。

多くの効果的な治療が、そうであるように、この防御網のスイッチをいかに切って、中枢に届けたい刺激を入れられるか、そこに心血を注いできました。これだけ様々な分野で、現象の理解のための認識が進んでいる現代、治療法の優劣云々を、この期に及んで、もはや語る必要はないでしょう。

どのような治療でも同じことです。まずは、からだの防御のためのブロックを外す、その後に、開いたからだに、中枢に向けて刺激を入れる、後は、からだの修復機構にすべてを委ねる。そういうことになります。ですから、講座でお伝えしてきた通り、まず知覚に合わせて、からだを緩めます。

十分緩んだことを確認できたら、次に、正中に高熱を加えます。いきなり、高熱が、芯の冷えに届くことは、ありません。何度も実際に触って確認してもらいましたが、からだが緩んで、防御網が開いた時に触れられる、あの氷のような冷たいスポットが、からだの冷えの本丸です。

どのような治療法でも、根本から変えられる治療ができる人であれば、結果的に、その冷えスポットは、解消されています。その反対は、言うまでもありませんが、冷えスポットは、そのまま残っています。そのままであれば、拡大していないだけ、まだ良心的かもしれません。

話がそれましたが、何に対して何を中枢まで届けたいのか、そこを考えなくてはなりません。実際に私の横で見てもらっている治療と、その結果を思い出してもらえれば、迷いは大幅に減ると思います。