辻村深月





この本はつらい

今まで自分の胸の奥に見えないように

隠してきたいくつかの部分を

突かれていくような本



この本の舞台は群馬県

作者の辻村深月は私と同じ山梨県出身

恐らく山梨のこと


そして県庁の臨時職員の設定も私も同じ

親に勧められた大学を受験し入学

なかなか内定が出ない就活

親に当てがってもらった県庁の臨時職員の仕事

につく

どこまでも同じ



私の場合は、結婚相手は幸運なことに

自分で探し、山梨県から親元から離れて

生活している


この本を読みながら思ってしまう

親の側で生活してあげることができなくて

ごめんね

親の友達はほとんどが近所に孫が住んでいて

頻繁に泊まりにきたり

外食に行ったり、食事を作り自宅に招いたり

しているらしい

私の地元の友達もほとんどがそう


私の祖父母も隣だったり

近所に住んでおり

毎日のように会えた


それが当たり前だと思っていた親に対して

今まで善良で

親の示す道をただ進んできただけの娘が

結婚して県外に行くという事実は酷だったと思う


私自身も県庁で出会った人と結婚し

親の側で暮らしてあげられていたら

どんなに親孝行できたか

いつも思っては胸が痛くなる


この小説でいう

私の善良の部分が出てきて

くるしい



この本は婚活する男女の恋愛話だけど

そもそも人間誰しもがある

傲慢な部分と善良な部分

一番触れられたくない痛い部分を

ピンポイントで突かれるような感覚




私の親が

娘の選んだ道を

誇らしく思ってくれていたら

どんなに救われるだろう