風に吹かれて
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うつろい


ことしの彼岸花は開花がとても遅くて

十月のお大師さまの御縁日まで

枯れた姿を残している

うららの日差しに参詣の方の足音も

なんだか軽くて

マスクを目にしなければ

いつも通りの須磨寺風景になっている

工房の片隅に

一月前から取り掛かっていた観音様が立たれている

こちらの材も引越しの際に現れたもの

屋久杉の木目が秋の日の光の中に優しい

ちょうど

たてられたお香の煙が

まるで香りをかたちに変えたかのように

観音様の御前に漂っている

こんなに静かな時間がここにあります

(三十秒ほどお付き合いください)




 
  遠い日の背中の記憶黄木犀   龍






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