バブみ姫とやんちゃな王子『3』 | たんたんたぬきのハラ時計

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ゆうなぁの小説
じゅりれなの小説。

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「あーあ、りんごぉぉぉーっ・・・

どーすんのぉぉ
殆ど向かいの運河に落っこって
流れてったじゃないの、んもー
高かったのにぃぃぃ‼️」

ところがほんの
一瞬ときめいたのも束の間に

彼女は折角の王子の
行為を逆撫でする様
彼の腕からすり抜けるや否や
河辺に勢い
よく向かって走り寄り


「ねえっ、りんごっ」 


「え?」


「だからぁ、どうすんのっ⁉︎
このままじゃ海まで流れてっちゃうよっ⁉︎」


「いっ、いや海までって・・・」


「取って来てよっ‼︎
泳いで早くっ、今ならまだ間に合うからぁ」


〝・・・って、
なんなんだこの娘っっ⁉️

助けて貰ったお礼も
何もろくすっぽ
言わない上に、このワタシにっ‼︎

よりによって
次期国王の身分であるこのワタシに
運河を泳いで
りんごを拾って来いだなんて
無礼にも程があろうぞっ💢〟

「きっ、ききっ
貴様っ、幾ら知らない事とは言え
普通に考えたら打ち首獄門・・っ」

「あーっ、もうっ‼︎
屁理屈はいい、いい、時間が勿体ないわっ」

そう言うと彼女は
スカートの裾をひょいと持ち上げ
「溺れたら助けに来てよね」

にこりともせず
真顔で告げると
何の躊躇いも持たずにザバザバと水の中に

「わーっ‼️ ‼️ ‼️
ななななっ、何やってんだ馬鹿者がっ‼️」

「だってアンタが
何もしてくんないから」

「分かったっ‼️
分かりましたよもうっ‼️

りんごだなっ⁉️
りんごがあればいーんだなっ⁉️ ‼️ ⁉️」

王子は河辺から彼女を
抱え上げると同時広場の市場に一目散

「くれっ‼︎ 
くれっ‼︎ あるだけりんごっ‼︎‼︎」
「えっ⁉︎ あるだけ⁉︎ 
そ、そりゃ嬉しいけど、でも私・・・」

「だから運ぶっ‼︎
運べばいーんだろっっ⁉︎‼︎⁉︎」

完璧にペースを
狂わされた彼は
もう半ばやけくそに籠ごとりんごを抱え

「さあ、行くぞっ‼︎
ともをせぃっ・・じゃなくてぇ

えーと、えーと
うん、そうだ、連れてってくれ」

「なーに?変なひとぉ」

此処で漸く娘は
クスクスと格好を崩し

「でも、ま、許しちゃう。
こんだけ買ってくれたんだもんね」
少し小ぶりの
それをひとつ、ひょいと持ち上げ

〝カシュッ❗️〟

「おいおい
洗わないと汚いだろ?」

「何言ってんの?

今朝、朝イチで
農園から運ばれて来たりんごだよ?

わざわざ洗わなくっ
たってそんなの朝露がキレイに・・」

言葉と同時
娘は王子の口元に・・「ほらっ」

「えっ?」

「いいから、ほら、・・ん?」

流石に育ちが
邪魔をして一瞬戸惑いはしたものの

確かに朝露に
濡れたそれは
今迄食したどのりんごより
新鮮で美味しく彼には見え


〝カシュッ・・・〟


「どう?」


「・・・」


「ね?、、どうよ?」


「美味いっ
素晴らしく美味いっ‼︎」


「でしょーっ⁉︎」


それがキッカケとなり
王子と娘との距離はグッと近まり


そうこうする内に
城に向かう道路沿いからやや外れた
緑の丘の中腹
辺りに立つ彼女の家へ
山と抱えたりんごと
共に2人は漸く辿り着く事になる。