法定速度と優越感 10 | たんたんたぬきのハラ時計

たんたんたぬきのハラ時計

ゆうなぁの小説
じゅりれなの小説。

アイコンか、コメントで
46、48ファンと
分からない方々様は
フォロー及びアメンバーの承認はしていませぬので、あしからず

『だってね彩希
茂木さんって優し過ぎるんだもん・・・

兎に角誰にでも
親切だし困ってる人はほっとけないし』 

うん、

確かになぁちゃんの事を
思い返してみてもそれは
疑い様のない事実で

『それは分かるよ、いい人だって・・・
けど、もっと私の事だけ見てて欲しいの』

俯き加減で
唇を噛み乍ら寂しげに呟き

〝ダメだよ早まっちゃ
ちゃんと話し合ってみなよ〟って

涙目の彼女を
必死になって励ました。


その向井地が
なんで今この子と・・・


〝出鼻を
挫いてくれるじゃんっ〟


〝はいはい
好きなのは勉強の方ね〟 


それでもさっきまでの私にはまだ
余裕と言うものが何処かにあった

連れない
ところもあるけれど
一緒に居ると何故か
安らげる唯一の後輩。

けどこの
LINEを目にした瞬間

なんの予兆もなく

胸に重しを無造作に
ドンと置かれた様な


〝移す・・・?

行動に移すって確かに
言ってたよね、この子〟

待ってよ
それじゃあ、なに⁉︎

人見知りの彼女が自分
から連絡するだなんて
もしかしたらもしかして
なぁちゃんが想いを寄せてる子って・・・


「すいません
お待たせしちゃって

あ、あと、それと私」
「・・・・・・」


「村山先輩」


「・・・・・・」


「先輩?」


「えっ、あ、
ああ、ごめん、ごめん、なに?」


「あー・・え、と

実はこのあと
人と待ち合わせしてるもんで」

そう言うとなぁちゃんは
お手洗いから戻ると同時
私が止めるのも聞かず素早く伝票を・・・

「茂木さんじゃないけど
バイト代が入ったところなんで」

「いいって、そんな」

「いえ、折角誘って
頂いたのに、途中で
帰っちゃうんでせめてものお詫びです。

・・・じゃあ、また」


「あ、うん、またね」


今度何時会えますかも
またLINEしますからも、なんにもない


そう


あの卒業式と同じ


〝なのに
向井地には会いに行くんだ〟


そうして私の身体は


笑顔で手を
振り乍らも
もう殆ど無意識の内に


足早に


スタバを去って行った
彼女のあとを意を決し


息せき切って
追う事になる。