法定速度と優越感 1 | たんたんたぬきのハラ時計

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ゆうなぁの小説
じゅりれなの小説。

アイコンか、コメントで
46、48ファンと
分からない方々様は
フォロー及びアメンバーの承認はしていませぬので、あしからず

『うーん
あんま意味ない事ですから・・・』


部活の後輩のなぁちゃんは
それが口癖の
兎にも角にも
笑わない女の子だった。




     『法定速度と優越感』
       ー ずっと、ずっと ー


私より1年後輩の彼女は
大多数の新入生が
所属先を決める桜の季節では無く

夏の終わり頃

思い出した
様にひょっこりと部室に現れ


「えと、あの
ダンス好きなんで入部出来ますか?」


目鼻立ちの
ハッキリとしたその顔立ちとは正反対

淡々とした表情と
抑揚の無い声でボソボソと
当時部長だった
茂木先輩に告げ

「また随分と季節外れな・・・」

「あ、はあ。駄目ですか?」

「や、そゆんじゃないけど
時期が時期なだけに珍しいなぁって」

「ええ、あの、迷ってまして」

「迷う?他所の部活と?」

「ああ、じゃなくて。

実は勉強も好きだったんで
上手く両立出来るかなって・・・」

「す、す、す、好きっ?
あんた勉強が好きなのっっ⁉︎」

「はい、いけませんか?」


この会話だけでも分かる様に
当事者の私が言うのもなんなんだけど

所謂、蝶よ花よとアオハルを
謳歌する今時のJKとは
些か思考がズレた場所が
彼女のどうやら立ち位置なのかな?・・と


いやいや、ところがどっこい

この子に対する第一印象が
自分の中で確定し根を降ろす、まさに直前

その様子をチラ見する私に
そっと耳打ちするオンナがひとり。


「知ってるよ、あの子」


「え?」


「1年の岡田でしょ、岡田奈々」


振り返ると
そこにはしたり顔のマネージャー
兎に角アタマが切れて情報の早い

同じクラスの
学級委員向井地が任せろと言わんばかりに

「一見地味に
見えるけど、これが意外とね・・・」

「意外となによ?」

「だから意外よ。

まあ論より証拠ってか
直ぐに分かる事になると思うけどね」

なんて
思っ切りの思わせぶり。


ただ私は私で
多少なりとも『盛る』所のある向井地の
言葉だったりするから
まあ話半分位に考えとけばいいとばかり

その日の部活の
終わりになると
すっかり奴の言った事を忘れ

「なに?
あの子結局入部したんだ」

「らしい。明日から
練習に参加するみたいだよ」

何気に噂話をする
先輩達を他所に「彩希マック寄ってく?」

「いくいくっ‼︎
お腹ぺっこぺこ。お家までもたないよ」

なんてけろっと
彼女『岡田奈々』の存在等どこ吹く風

ビッグマックに
心躍らせながら
足取りも軽い帰り道になるワケなんだけど



そんな私が向井地の
戯言(その時はそう思っていた)を
まざまざと思い出したのは

翌日の放課後

何時も通り鼻歌まじりに校庭を横切り
部室に向かう
まさにその時
だったりなんかして・・・