猫(犬)にしか見えない 6 | たんたんたぬきのハラ時計

たんたんたぬきのハラ時計

ゆうなぁの小説
じゅりれなの小説。

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46、48ファンと
分からない方々様は
フォロー及びアメンバーの承認はしていませぬので、あしからず

「・・・

・・お、・・・はよう」


「おはようござっ・・」


〝ええええっ‼︎‼︎
なんなんだ、これはっ⁉︎ ‼︎ ⁉︎〟

無意識の内に
思わず後退り   

「具合・・悪いんですか?」

「別に」

「でもあの、顔色が・・・」 

「多分気のせい」

確かに『素の笑顔』には程遠い

程遠いけど・・・

それでも最低限
新人を『慈しむ笑顔』位は
見せていてくれた筈なのに

偶然に鉢合わせた早朝の洗面所

そこには恐ろしく
仏頂面したチーフの姿があり

「オカダなんかした・・・?」

その余りの形相に驚き

隣で歯を磨きつつ
肘を突っついてくる向井地に
無言で首をぶんぶん振り乍ら

流石にこの空気は
余りにも耐え難い。


「なんなんだろうね?

昨日の休憩室では
そこそこいい感じで話してたのに」

早々に退散し
施設の・・・そこは廊下

「こっちが聞きたいわ」

痛い所を向井地に突かれ
おまけに反論出来ないと言う体たらく

「どうよ、白旗」

「ご冗談でしょ」

然るに正直
苦し紛れは否めない

気まぐれ?

体調不良の痩せ我慢。

それとも
ただの低気圧?

まったくもって
思考が読めない彼女は『猫』

『猫』そのものだ

けどせめて理由さえ

それさえ
知る事が出来たなら・・・





「おはよう岡田さん」





ただでさえ
目覚めが悪い上に廊下に響く・・・

「昨日はごめんね」

「ああ、とんでもない岡部主任。

此方の方こそ
遅くまでありがとうございました」


〝そうね、ホント遅くまで〟


いったい何を
話していたのか話す事があったのか?

中庭のベンチに腰掛け
遠目からでも分かる程

一体全体確かに彼女は何時も
破格の笑顔だけれど

私に見せるそれとは
明らかに何かが違う
ああ、そんな顔を
する事もあるんだなって

しかも面倒を見ている
私じゃなく、なんでそれが・・・

『好きなんじゃ
ないの?べりんの事』

いともたやすく
茂木はさらっと

『えっ・・そうなの?』

『いや、知らんけど』

『知らないなら言わないでよ』

『でもそうじゃないの?
べりんてなんか相談しやすいオーラが』

確かにそうかもしれない

私でさえ、もう本当に
仕事に行き詰まっちゃったりすると・・・

『行くでしょ?べりんのとこ。

でも別に彩希が
気にする事でもないんじゃないの?』

『べ、別に気にしてなんか・・・』

『ならいーじゃん。
応援してあげれば喜んでくれるかもよ』


してあげればって
してあげればって


必要ないっしょ⁉︎


だって彼女は
誰にでも懐く、どうせ『犬』なんだもん。