僕の夏が始まる 3 | たんたんたぬきのハラ時計

たんたんたぬきのハラ時計

ゆうなぁの小説
じゅりれなの小説。

アイコンか、コメントで
46、48ファンと
分からない方々様は
フォロー及びアメンバーの承認はしていませぬので、あしからず

『あの先輩
もし良ければなんですけど・・・

この子をウチの
マネージャーに
使たってくれへんかなぁ』


それはやり手の
マネージャーが
他府県へ転校してしまい

部内がもう
てんてこ舞いだった頃

当時一年生だった
夢莉が連れて来た

『この子自分と
同じクラスの村山言うんですけど

子供の頃家の
近所の公園で
よう一緒にボール蹴ってて

今はもう
やってへんみたいやけど

知識やったらそこら辺の
選手よりよっぽど
サッカーの事好きやし、詳しいし

即戦力に
なると思うんですけどね』


そんな夢莉の言葉通り

練習で使う
道具の準備や手伝いから始まり

練習や試合での記録ノートの取り方
及びスコアブックの記入の仕方から
果ては選手達の
身体のケアに至るまで

殆ど教える事も無く
その全てを彼女はなんなく熟し

2年に上がる頃には
最上級生の先輩達までもが
アタマの上がらない
存在になったりなんかして


『でもさぁ性格は
なかなかシビアなとこあるけどさぁ』

『ああいいよね、彩希ちゃん』

『うん、可愛い、可愛い』

『えええーっ
先輩、ちゃんと目ぇ開いてはります?』

当時よくそんなやり取りを
耳にした事が何度かあった

が、そうは言いつつも

教室、部活、休み時間
果ては帰り道に至るまで

村山の隣には必ず
側に寄り添う夢莉の姿があり


『相手が夢莉じゃなぁ・・・』


先輩達の諦めにも
似た声が部内で囁かれるのと並行する様

2人は何時しか学校公認の
カップルとなり現在に至るってワケで・・・

そうなればもう
ライバルもなにも只のお手上げ状態ってか

ああ・・・もう
自分はこの先
クチを出す事は疎か
あの眩しい笑顔も
気が強いのとは真逆の可愛い声色も

ただ見てるだけで
それだけできっと
終わってしまうんだろうな・・・

でもまぁ先輩達の言う通り

夢莉が相手なら
もうそれは
致し方がない事かもしれないと

・・・・・





ところがある日の放課後

「お疲れーっ」「お疲れ様でしたぁ」

練習を終え解散し
駅に向かって歩き始めた折


「あれ?」


初めて見る様な光景に
出くわし・・・「どうしたの?」

その後ろ姿に些か
躊躇い乍らも私は思わず声を掛ける。