こんにちわ。kazemonです。今回から三回に渡り、『当り馬券脱税事件』について書きたいと思います。皆さんも注目していると思いますが、私も競馬ファン?博打ファン?(^^;)の一人として大注目すべき事件なので取り上げる事にしました。
巨額の「競馬脱税事件」として注目を浴びている裁判の判決が5月23日、大阪地裁で下されます。
報道によると、被告人の男性(39)は100万円を元手に、当たり馬券の払戻金を次々につぎ込む形で馬券を購入。自作の予想システムを駆使し、2009年までの3年間で合計約28億7000万円分の馬券を買い、トータルで約30億1000万円の払い戻しを得た。
つまり、差し引きして約1億4000万円の「黒字」
単純に考えると、この黒字分の約1億4000万円が「所得」であり、税金がかかるとしたら、この部分だとが誰もが考えるはずである。
ところが、
男性が確定申告しなかったために所得税法違反で起訴された際に、検察が「所得」と主張したのは、なんと28億8000万円という途方もない金額だった。
なぜか、
検察は「外れ馬券の購入費」を無視して、「当たり馬券の購入費」のみを「必要経費」と評価したからだ。検察は、約30億1000万円の「払戻金」から、約1億3000万円の「当たり馬券購入費」を引いた28億8000万円を「所得」と主張し、男性が約5億7000万円を脱税したと言っている。つまり男性は「儲けた金額」をはるかに上回る税金を納めろと要求しているのだ。
今回の事件で、最大の争点となっているのは、
外れ馬券の購入費が「必要経費」として認められるかどうか。
所得税法37条1項により、被告人の男性の馬券購入費が『必要経費』として認められるためには、次の2つのどちらかに該当しなければならないとされています。
(1)売上原価など、総収入金額を得るために直接要した費用
(2)販売費や一般管理費など、所得を生ずべき業務についての費用
今回の事件の場合、
まず(1)の『直接に要した費用』についてですが、
競馬における収入である『払戻金』を得るために『直接に要した費用』は、当たり馬券の購入費です。当たり馬券の購入があったからこそ収入を得ることができた、という関係にあります。これに対して、外れ馬券の購入費は収入とは『直接』の関係はありませんので、(1)の『直接に要した費用』には該当しないのではないかと考えられます。
では(2)の『販売費や一般管理費など、所得を生ずべき業務についての費用』についてはどうか?
この点については、問題の費用が『所得を生ずべき業務』に必要不可欠だったかどうかという観点で考えると、競馬では、馬券を1枚しか購入しなくても当たる人もいれば、馬券を100枚購入しても全て外れる人もいますので、外れ馬券の購入費が『所得を生ずべき業務』(当たり馬券の購入)に必要不可欠であったとまではいえないのではないかと思われる。
しかし「被告人の男性は、過去のレースデータを基に独自の競馬予想ソフトを開発したということです。オッズに対して掛け金の配分を変える方式で、レースごとに黒字になるシステムをつくりあげて、多数の馬券を購入していたとのですので、一定の割合で外れ馬券が生じることも、織り込み済みのシステムだった可能性もあるのではないかと思われます。詳細な主張立証の状況はわかりませんが、被告人の男性が利用していたシステムでは、払戻金を得るためには、必ず外れ馬券も発生するシステムと。
そう考えると、
外れ馬券の購入費も『所得を生ずべき業務について生じた費用』に該当するという解釈も成り立つ可能性があるのではないかとも思われます。
つまり、
外れ馬券の購入費が「必要経費」として認められる余地がないわけではない。
そう考えると馬券購入は、先物取引やFXと似ているのではないでしょうか?
「先物取引やFXによる所得については、年間を通じて『得した額』から『損した額』を引いた純利益に対して課税されることになっています。弁護側は、競馬による所得についても先物取引やFXによる所得と同様に考えてほしい、といった主張をしている様です。
たしかに、税法上、先物取引やFXによる所得は『雑所得』とされていますが、競馬による取得は『一時所得』とされています。したがって、先物取引やFXと全く同じように考えることができるわけではありません。しかし被告人の男性は、競馬ソフトや計算式を利用したシステムに基づいて、馬券を購入して投資効率を高めていたとのことですので、証券取引と類似する側面がない訳ではないからです。
今回の裁判の争点、そしてポイントは下記の2点である。
①当り馬券の購入費は、『必要経費』に含まれるのか?
②男性の所得が『雑所得』それとも『一時所得』?一体『何所得』に該当すると判断されるのか?
では、この競馬脱税事件、どのような判決が出ることが予想されるのでしょうか。
解釈によっては、被告人の男性に有利な判断がでる余地がないわけではありません。
しかし、法律を淡々と解釈していくと、有罪判決が出る可能性は高いでしょう。
だが「誰に聞いたって、自分が稼いだ分の5倍もの税金を払えと言われるのは、明らかに納得できないと感じるのではないでしょうか。このような結論になるのであれば、多くの競馬ファン(私kazemonも含めて)は、怖くて競馬を楽しめなくなるのではないでしょう。
実際に受け持つことができない額の税金の負担を強いるのは、租税制度の根底にある『担税力』(税金を負担する能力)の観点からも疑問があります。仮に、検察の主張通りの判決が出たとしても、今回の事件は租税制度の根幹にかかわる重大な欠陥を露呈することになるでしょう。
『法律論としては正しいが、常識感覚からすればどこかおかしい』そんな判決が出るのかどうか。それとも、裁判所が常識を働かせ、競馬ファンが納得する様な結論を示せるのか?大阪地裁の判決が注目される。