18年間はやはり長い
ほぼ私の半生を共にしてくれたわんこ

元気なときは二階の私のベッドの上まで
散歩の催促にやってきた
寝ている人の顔を手で叩き起こした

朝起きたら
ベッドの下に寝ていてびっくりした
重いな〜と思ったら足の上で寝てた

私の友人たちにもよく会っていたし
近所を歩けば
名前を呼んでもらえた

しばらくは
何もしていないと勝手に涙が流れて困った
病院へ行く時のバスの中や
通勤中の電車の中
散歩で歩いた道
それこそところかまわず

わんこの亡骸は
前のコのことを思い出しながら
棺代わりのダンボール箱に
愛用の毛布とクッションを
一緒に入れてやった

翌日
病院へ報告に行くも
家族は泣いてしまって話せず
私が先生にご報告した

帰りは
散歩道を歩きながら
草花を摘んで持ち帰り
手向けてやった

前のコのときは
20年以上前だったので
近くにペットを火葬してくれる業者さんもなく
遠方から取りにきてもらって
骨壷でかえってきた

お骨は病院で教わった
隣町のお寺さんのペット供養塔に
納骨させてもらった

今回はいくつか業者さんやお寺さんが
ネットで調べるとあったが
いちばん良さそうで近くだったお寺さんに
火葬だけお願いした

お骨は前のコと一緒に入れてやりたかったから

お寺さんの都合もあり
二晩家でまだ過ごせることになった

それまでにしておくことは?
と聞くと
お線香とお水・お花を
そして
ドライアイスなどは
まだこの時期は不要とのことだった

前のコと同じように
母親がテレビで見たというやり方で
かなり低めの小さな祭壇を生前使ってた台
(老い始めてからは首に負担をかけないように
    地べたではなく顔の高さになるような
    台を作って水飲み皿を置いていた)
にして、その上にお水とお線香・
小皿(ごはん)をお供えし、
毎朝晩取り替えた

お線香は半分に折って
祭壇が低めなのと同じで
人間とは階級が違うから
低くないと意味がない、と
テレビで見たらしい

私は
死んでしまったらどうなるのか?
ということを毎日調べていた
今思えば
自分を納得させるためだったのかもしれない

死んだら香食(こうじき)といって
香りを食べるとわかり
なるほど、だからお花やお線香を
手向けるのだな、と知って
お花もいい香りのものを選んで
芍薬や白百合などを
毎週買って帰った

あの世では
7日ごとに裁きを受けるらしいとか
35日目には閻魔様の裁きがあるとか
知って
ちょっとご馳走をふるまったり

生きてるときにしてやれなかったことを
取り返す自己満足だったかもしれない

火葬してくれたお寺さんは
50歳くらいのお坊さんでとてもいい方だった

火葬の前にも読経してくださった
お坊さんの声はいい声だなぁ
この声で空気を清らかにするんだろうか…

お花や首輪などは一緒に燃えるが
分厚いクッションや毛布はダメで
材質によっては
骨にくっついてしまうものは省かれる

最期まで使ってたクッションは
祭壇の横にリードと一緒に祀った

火葬が終わったあと
お骨あげのときに
小さくなったわんこの骨をひとつひとつ
説明してくださった

喉仏様もきれいに残ってるし
病気の犬は骨の色も変わることが
あるけれど(ホントかウソかはわからない)
どの骨もきれいなので
苦しまずに長くかわいがってもらって
感謝して喜んでると思いますよ

みたいなお話をしてくださった
骨壷は中型犬用で
骨壷袋は青ピンク白の中から
白にした
白い犬だったから

焼いてもらってる間
持ってきたわんこの写真を
家族で何枚か選んだ

不思議なことに
写真立ては少し前に片付けたときに
新しいものがたまたま出てきていた

3枚入るものだったので
前のコたちと一緒になれるように
前のコたちの写真と一緒に入れようとしたら
サイズが微妙だったけど
偶然ぴったりだった

ものすごくいい天気だったのに
焼いてる間だけ
涙雨だった

お坊さんに供養してもらったせいか
その後
私はほとんど泣くことがなくなった

毎朝晩の供養や法要は
もしかしたら
残された者への優しさなのかもしれない
そう思えた日
仕事中なのに窓から虹が見えた

四十九日に合わせて
前のコと同じお寺さんで
納骨の法要をしていただき
無事納骨を終えたのが4月末

ちなみに供養塔は
20年前のものはなくなって
土に還されており
新しい供養塔に骨壷ではなく
直接お骨だけを入れるカタチに変わっていた
(その方がたくさん入るからだろう)

それでも
長年供養していただき
ある程度のところで供養して
土に還してもらえる

火葬してくださったお寺さんと
納骨してもらったお寺さんと
うちはそれぞれ宗派がバラバラだが

火葬してくださったときに聞いた話

お寺は基本的に永代供養だが
業者さんは企業なので
潰れることもある

ペット霊園などは山奥なことが多く
ゴルフ場になってしまったところも
あるとかないとか

しかも
何の連絡もないところもあって
揉めることもあるみたいなので
気をつけたほうがいい
というようなお話だった

うちでお願いした供養塔は
ペットの共同供養塔なので
それぞれの考え方などいろいろあると
思うけれど

生きとし生けるものは
いずれ
土に還るのだ

納骨後
1週間ほどは
何もないけれど今まで通り
お花とお水・ごはんを
お供えし

先日
供養の祭壇を片付けた

いつまでも
気にしていては
成仏できないらしい

それでも
しばらくはわんこの気配を
感じることが時々あった

不思議だけれど
気のせいなのかもしれない

そうそう
仏さまにお参りするときは
どうぞ見守っていてください
いいそうだ

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母親の介助犬にさせようかと
本気で思ったくらい
よく芸を覚え、リードやウンチ袋だけでなく
新聞や携帯くらいなら
ちゃんと持ってきてくれるコだった

晩年もドアを開けろ、と
ドアの前で吠える技を身につけていた

どうか安らかに
ありがとう                                     2017.5.16