漫画ゴールデンカムイ1巻のあらすじと読んだ感想 下【ネタバレ注意】 | 漫画ゴールデンカムイをスマホで無料立ち読み、アプリでダウンロードしよう!

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 前回からだいぶ更新が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした!

 この記事は前回の続きとなります。まだお読みになっていない方がいましたら、先にそちらをどうぞ!

 

漫画ゴールデンカムイ1巻のあらすじと読んだ感想 上【ネタバレ注意】

 

 

 

 

 というわけで1巻あらすじ感想の後半です。

 

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【あらすじ】

・3話「罠」

 最初の二ページからアイヌ式のリスの捕まえ方が解説されます。餌であるエゾマツの木の幹に棒を立てかけておくと、リスは横着で楽な道を選ぶために立てかけた棒を通ろうとするそうです。その通り道に針金で作った「くくり罠」を仕掛け、これにリスが頭を入れて進もうとすると首が絞まる、という仕組み。

 金塊を巡る話のはずなのにいきなりリスの捕り方なんてやってるんだ、と思うかも知れませんが、この漫画は金塊を巡る話をしつつ、狩猟やそれに伴う料理も描くサバイバル漫画となっています。1話と2話じゃそんな話は出てこないので少し戸惑うかも? 
 どうでも良いけど、リスって食べられるし、毛皮も使えるんですね。あんなちっこいのに。知らなかった。
 
 リスを捕らえる罠を作った二人は囚人を見つけるために最初にどうするか考えます。考えた結果、囚人達は「山に隠れては生きていけない」、「小さな集落だとよそ者は目立つ」、「脱走犯ならなるべく大きな町で人に紛れたいのが心理」ということで、近くの大きな町、小樽に向かい、それぞれで情報収集を開始します。
 ちなみにこの漫画恒例の豆知識によると小樽は明治末期では北のウォール街と呼ばれ、北海道一の商業都市であったようです。またそば屋に化けた私娼窟がいくつもあって本当のそば屋が中々見つけられなかったほどらしいです。夜ならともかく、普通に飯を食いたい時に困りますねw
 
 杉元は町の銭湯に入って奇妙な入れ墨をした人物がいないか客に聞きます。この時杉元の体が露わになりますが、体中傷跡だらけで痛々しい。囚人は見つかりませんでしたが、この時の客との会話で「大金を掴んでやる、どんな手を使ってでも」と改めて決意する杉元。
 一方アリシパはそば屋に化けた私娼窟が立ち並ぶ地域で聞き込み。年端もいかぬ少女がそんなところ行って良いんでしょうか……? いやまぁ、こういうツッコミは無粋なんでしょうけどネ。

 アシリパはそば屋の女性店員(私娼窟だからホントは娼婦)に奇妙な入れ墨をした男を相手にしたことはないかと尋ねていたところ、突如大男が「こらあ!」と怒鳴りながらアシリパを片手で持ち上げます。この持ち上げられてるアシリパですが大男との対比ですっごく小さく見えます。手足だらーんとして持ち上げられてるのがなんかカワイイ。

 娼館の関係者である大男は、異民族であるアイヌの少女がうろちょろしているのが気にくわなかったのでしょうか。女性定員が静止する中、大男は、アイヌの女は年頃になると口の周りに墨を入れるから、その前に売り払うか、などと言いながらアシリパを担ぎ上げます。地味にここでアシリパさんの年齢が12、13歳ぐらいであることとアイヌでは大人の女性は口周りに墨を入れる文化があることがわかります。わかっていたけどアシリパさん幼い……。

 アイヌ文化を馬鹿にしたような発言に気を悪くしたかはどうかわかりませんが、担がれたアシリパさんはすかさず腰から短刀を抜いて柄で大男の目を強打。たまらず手を離した大男は「このクソガキ!」と怒りますが…

 「おい」。その声と共に大男の肩を誰かが叩きます。大男が振り返ればいつの間にか背後に銭湯から上がった杉元が。直後に杉元は大男の喉にドグン、と親指を突き刺します。なんという躊躇いのない暴行。警官が居たら暴行罪で刑務所行きです。この男遠慮も容赦もない。

 苦しがる大男に杉元とアシリパは再度奇妙な入れ墨をした男が来ていないか聞きます。大男は見覚えがない、と首を横にぶるぶる振りますが、「おなじことをまえに聞いてきた男がいた」という証言をします。それを聞いた杉元はニヤリと笑います。「考えることは同じか」

 

 しばらくして杉元とアシリパは町での聞き込みをやめて、森の中の拠点に引き返し始めました。と、その二人を追う一人の男の姿が。どうやらこの男も入れ墨を狙う囚人の一人のようで、先ほど大男が言っていた男なのでしょう。隠れながら二人を尾行します。

 が、これに二人は気づいていました。どうやら情報収集を行うのと同時に囚人達をおびき寄せていたようです。

 そうとは知らず森の中を追ってくる男は「ここでやっちまうか」と言いながら拳銃を懐から出して横倒れになっている木の幹をくぐろうとします。木にはサルオガセと言う糸状の地衣類(藻とか苔みたいなものらしいです)がのれんのようにかかっていて、男がそれをくぐろうとした瞬間、

「かかった まずは一匹目!」 

 サルオガセに紛れて張られていた針金の輪が男の首をくくりました。そう、これこの話の冒頭で紹介していたリスのくくり罠の巨大バージョン。囚人一人目を捕獲です。しかしこれ、首しまってるから下手したら死んじゃうんじゃ…w

 ちなみにちゃっかりリスも捕らえているのが最後のコマでわかります。

 

・4話「のっぺら坊」

 捕まえた男に対し、杉元は尋問をします。男は最初は他の囚人と一緒に居たそうですが、突然囚人同士で始まった殺し合いから逃げてきたようです。他の囚人達は入れ墨の暗号を解くためには皮を剥ぐ必要があることに気づいて殺し合いを始めたようですが、この男はそれを知らなかったようでした。

 杉元からその事を教えられた男は項垂れながらも、脱獄を仕切っていた男が冷酷で怪物じみた男であり、金塊探しはやめといた方が身のためだぞ、と言います。

 が、杉元これに全く動じず。感情のない目で男から奪った拳銃を向けて、殺して皮剥ぐぞ、的な事を平然と言います。怖ぇよこの主人公……。

 と、ここで木を集めていたアシリパさんが登場。殺すなら協力しないぞ、と言うアシリパに対し、脅して情報を聞くつもりだった、と返す杉元。その割には目がマジでしたけど、ホントですかねぇ?

 二人は男の皮を剥ぐ、のではなく、服を脱がせて体を拘束させて体に描かれた入れ墨を、杉元の持っていた鉛筆でスケッチすることにしました。スケッチ担当はアシリパさん。初めて鉛筆を握ったぽいですが、割と上手にスケッチができてます。器用な女の子ですね。ちなみに恒例の豆知識によれば鉛筆は明治後期に一気に普及したものらしいです。鉛筆5本でおよそあんパン一個分の金額だったそうです。

 アシリパさんの器用さは、どうやら父親に似たらしく器用故にモテたそうです。アイヌの男は好きな女性に自分で彫った短刀(アイヌ語でマキリと言うそうです)を贈るようで、その短刀の出来映えを見て女は男の生活力を量るんだそうです。手先の器用な男はモテる……なんだか現代でも通じそうな考えですね。ちなみに3話でアシリパさんが出した短刀(実は1話でも出てましたが、前回書き忘れました)も父親が作ったものだそうです。

 アシリパはスケッチをしながら男に、入れ墨を彫った男、つまりはアシリパの父親を殺した男はどんな奴だったかを聞きます。男は「……のっぺら坊さ。俺たちはそう呼んでた」と言います。

 どういう意味だ、とアシリパが尋ね返すと、

「顔が無いんだ」

 男がそう言った瞬間。

 パシっという軽い音と共に男は頭を撃ち抜かれてしまいます。

 即座に杉元は弾の飛んでくる音と命中音、そしてその後に響いてきた衝撃波の音で相手の距離を把握します。さすが激戦地を生き抜いた兵士。というか音だけで距離を把握できるもんなんですね。

 杉元はアシリパを木の陰に隠れさせますが、その際に絵にべっとりと血がついてしまいます。杉元が拳銃で牽制する中、アシリパは木の枝を切って燃やし、煙幕をはります。

 対する狙撃手は煙幕をはったことを確認して接近してきます。狙撃手はフード付きのマント姿で素顔が見えません。ちなみにこのときに狙撃を安定させるために木にナイフを突き刺して台の代わりのようにしていました。こういう細かい描写良いですよね。

 足跡を追って近づく狙撃手。しかし、先ほどの男と同じように罠にかかって銃が奪われます。杉元とアシリパの二人は森のあちこちに人間用の罠を仕掛けていたのでした。

 驚く狙撃手に向かって杉元が小銃を振りかぶって殴りかかります。しかし、狙撃手はこれを避け、逆に突っ込んできます。ナイフを突き刺そうとする狙撃手に対し、杉元はすんでの所で銃で防御します。杉元は生け捕りにするつもりだったようですが、手加減できる相手ではありません。どうにか蹴り飛ばして密着状態から脱し、小銃を構えますが、相手がいつの間にか銃のボルトを抜いて撃てなくさせていました。

 直後、狙撃手がマントを脱いで姿を露わにしました。

 そいつは陸軍の軍服を着た兵士。しかも陸軍最強と謳われた第七師団と呼ばれる部隊に所属しているものでした。

 

・5話「北鎮部隊」

 扉絵が何故かアシリパさんとリスで、なんか相棒みたいな感じで描かれてますが、これはこの話の後半に繋がるネタ絵です。

 

 杉元の目の前に現れた男は大日本帝国陸軍第七師団に所属している兵士。第七師団とは日露戦争の激戦地を生き抜いた最強の師団だそうで、例の金塊を追う屯田兵の部隊です。

 杉元の推測では恐らく師団の中でもはずれ者と思われますが、相手にするのはやっかい。

 そう考えている杉元に、相手は杉元が軍帽をかぶっているためか軍の所属を聞きます。第一師団にいた、と杉元が答えると、203高地あたりで会っていたかもしれんな、と言います。

 かつての戦友のよしみなのか、杉元に対しておとなしく手を引けと言います。

「あの戦争で拾った命はカネに換えられんぞ」

「どれだけ危険な博打に手を出しているのか分かっておらんのだ」

 そう言う相手に対して杉元は軍帽をかぶり直して、

「カネじゃねぇ」

「惚れた女のためだ」

 と言い切ります。カッケェー!

 

 直後、兵士は何も言わずに右手で持ったナイフを突き刺してきますが、杉元はそれを避けて相手の服を掴んで背負い投げをします。唐突に戦いが始まりますが、恐らく兵士側は最初から殺すつもりだったのかも。金塊の話はあまり誰にも知られたくない話でしょうし。杉元も戦うつもりだったから対応できたのでしょう。まぁ、この人達なら元々油断も隙も無さそうですが。

 杉元は投げた後、そのまま右腕の関節を極める……のをさらに越えて躊躇無く腕をボキボキとへし折っていきました。その後、トドメをさそうとナイフを突き立てようとした瞬間、

「杉元ッ!」

 アシリパが駆け寄って制止します。先の囚人と同様に殺してほしくないからでしょう。

 杉元は手を止めつつも、目はマジです。

 と、腕が折られてるのに悲鳴一つあげない兵士がぽつりと、

「第一師団の杉元。不死身の杉元か」

 そう言うなり、無事な左手で杉元の顔面に指先を突き刺しました。痛ってぇ、とたまらず杉元は拘束を解放してしまいます。兵士は折れた右腕をぶらぶらさせながら、

「この状況で『不死身の杉元』は手に負えん。片腕だけに」

 腕折れてるってのに、何ジョーク言ってるんだお前……。

 そんな兵士に対してツッコミの如く、杉元が小銃を投げてぶち当てます。後頭部に銃床をぶつけられた兵士は気を失ってずるずると崖から転落、顔を岩にしたたかに打ち付けた後に皮に落ちてしまいました。

 このまま兵士が死ねば、仲間に情報が行かず、追われる心配が無くなります。杉元は「これでよかったんだ」と言います。

 アシリパは先ほどの兵士が言った「不死身の杉元」とはどうい意味か尋ねます。

 杉元は答えて言います。

「俺が戦争で学んだ死なない方法はひとつさ」

「殺されないことだ」

 殺されるくらいなら躊躇無く殺す。そう言い切る杉元にアシリパは何も言いません。

「弱い奴は食われる。どこの世界もそれは同じだろう?」 

 その言葉が正論で言い返せなかったのでしょうか。

 

 その場を後にした二人はアシリパが山の各地に作った狩猟小屋の一つに向かいます。狩猟小屋を作ったり、3話冒頭でやった罠を作ったりというアシリパの狩猟の知識は亡き父から教えられたものだそうで、男の兄弟が居なかったので父の狩りに連れ回されたんだそうです。そういう事もあってか家に居るよりも山に居る方が好きだ、とアシリパは言います。

 腹が減ってきた二人は、クチャと呼ばれる針葉樹の葉で作られた小さな円錐方の小屋に着くと、3話で捕ったリスを食べることにします。そう、扉絵で描かれたリスは食われる運命だったのだ!

 アシリパはこのリスをチタタプという、刃物で叩いて挽肉にするアイヌの料理にしようと言います。

 下ごしらえのため、リスの皮を剥いで内蔵をこそぎだして洗うのですが、このシーン、その行程を全部見せているので、リス好きの人とかグロいのが苦手な人は注意。

 驚くことに脳みそも食べるそうな。丸ごとチタタプにするそうですが、そのままでも珍味だとのこと。ということで、「杉元、脳みそ食っていいぞ」とアシリパに言われ、杉元は渋々食べることに。このシーン、杉元の微妙な顔に、それを睨んで見てるアシリパの顔芸が非常に笑えますw

 しかし脳みそを生で食べるって、寒いとはいえ寄生虫とか変な病気とかありそうですけど大丈夫なんでしょうか?

 続いて残った体を刃物で叩いていきます。ちなみにチタタプとはアイヌ語で「我々が刻むもの」という意味らしく、そのため交代して叩いていきます。また、叩く際にはチタタプと良いながら叩くそう。ユニークな料理方法ですね。

 本来なら全て生で食べるそうなのですが、今回は杉元に合わせて汁物(アイヌ語でオハウというそう)になりました。肉のつみれ汁というわけです。

 そこにニリンソウ(アイヌではプクサキナと呼ぶ)を入れれば完成。この完成したチタタプが杉元の食レポも合わさって実においしそう。金塊を求める漫画なのにグルメ要素も内包しているとは……! 食事に感謝する言葉(いただきます、ごちそうさまみたいなものでしょう)である「ヒンナ」という言葉を二人で言いながら二人は食事を続けます。

 

 一方、あの川に落ちた兵士はなんと生存しており、別の陸軍兵士に助け出されていたようでした。尾形上等兵と呼ばれたこの兵士は、どうやら杉元の推測通りはずれ者だったようで、勝手に単独行動をしていたようでした。

 最後に顔は見えませんが、馬に乗った上官らしき男とその部下と思われる数人の軍人の一枚絵でこの話は終わりです。

 

 

・6話「迫害」

 3話のように冒頭から罠を設置しているシーンで始まります。今度はウサギ用の罠ですが、用いているものはリスと同じ針金を使ったくくり罠。足跡などの形跡がある獣道を見つけたらその途中に、罠を仕掛けます。その際に獣道の両脇に柵を作って罠に向かうように誘導させます。あとは枝などで高さを調節すればOK。

 

 と、罠を設置したところで今度は2人目の囚人もゲットしました。3話と同様に囚人を拘束します。囚人はスキンヘッドの男で、杉元は男に対しいくつか質問しますがだんまり。

「罠でノドがつぶれたか?」

 そう言う杉元に男がようやく口を開きました。

「そのアイヌはお前さんの飼いイヌか?」

 これには杉元激オコ。即座に男のアゴを掴んでメキメキさせながら、「アゴを砕いて本当にしゃべられんようにしてやろうか」

 コワイ! この杉元という男、基本的に容赦しません。

 アシリパはそれに対して「私は気にしない、慣れてる」と涼しい顔で言いますが、杉元は慣れる必要がどこにある、と思いました。どうやらこのような差別扱いになにか心当たりがあるようです。

 

 ここで杉元の回想。日露戦争より数年も前の話で、とある村に住んでいたときの話です。杉元の一家は結核で杉元以外全員亡くなったようで、村の人々から嫌悪されていました。ただ一人、梅子(後に亡き親友寅次の妻となった女の人)だけ杉元の家の近くに行ったりして心配をしていました。

 ある夜、杉元の家が燃やされてしまいます。梅子は慌てて杉元を探して無事を確認しますが、この火事が杉元自身がやったと聞いて驚きます。

 父親が死んだ報を聞いた杉元はもうこの家に帰る者はおらず、自身も村を出るつもりだ、と告げます。

「寅次は……真面目で良い奴だ」

 杉元はそう言って梅子の両親の勧めに従って寅次に嫁ぐように言います。それに対して梅子は涙を流しながら、

「佐一ちゃん、連れてって」

 駆け落ちしよう、と涙ながらに言います。

 しかし杉元はこれを拒否。自身も結核に罹っている可能性があり、「梅ちゃんを殺したくない」と涙を隠しながら村を去ってしまいます。まさしく断腸の思いだったことでしょう。

 1~2年後、発症しなかったら必ず迎えに行こう。

 そう思っていた杉元ですが、数年後村に戻ってみると、梅子は寅次と結婚する式の真っ最中でした。それを目の当たりにした杉元には悲しげな微笑が。相思相愛だった女性が、親友の男に嫁いだことを知った杉元の心の内はどんなものだったのでしょうか……。

 

 と、ここでアシリパの呼びかけで現実に引き戻されます。

 ウサギが居る、というアシリパ。見れば雪に隠れて耳だけ見えていました。ウサギが昼間にうろうろしているのは天気が崩れるので避難するためなんだとか。へぇー。

 「今日はアイツを捕まえてすぐ小屋に籠もろう」と涎を少し口の端から垂らしながら言うアシリパ。どうやら今日の夕飯はウサギのようです。

 アシリパさん曰く、木の棒などをウサギの上に放り投げれば、ウサギが鳥に襲われたと勘違いして雪に頭を突っ込んで動かなくなるそうなので、そこを捕らえるというわけです。

 驚かせるのは可哀相だな、と言う杉元にアシリパがせっつかせます。そんな二人を尻目に囚人は何やら口をもごもごさせると、なんと口からカミソリを出したではないですか。この男、名を白石由竹(しらいしよしたけ)と言い、脱獄王の異名を持つ囚人だったのです。

 はじめは強盗による投獄だったのに、何度も収監と脱獄を繰り返したために脱獄による懲役が遙かに上回るほどだったそうです。何度も脱獄できた理由は、自由自在に関節を脱臼させることのできる体質だったことと、不意に捕まっても脱出できるように体に針金やら針やらを隠し持っているからでした。恐ろしい技術を持つ男ですが、脱獄云々の以前に何故最初に捕まることを避けようとしないのだろう? そんな技術持ってるなら逮捕を避けられそうなものですけど。

 さて、そうとは知らずに今夜の晩ご飯を捕らえようとしている二人。オラーッ! と勇ましくアシリパさんがウサギを捕まえます。が、その瞬間に白石はカミソリで縄を切って拘束を解いていました。

 追おうとする杉元に、天候が悪くなるから深追いするな、とアシリパは制止します。さっきのウサギは天候悪化の伏線だったようです。が、必ず捕まえるから小屋で待ってろ、と杉元はそのまま追いかけてしまいます。

 逃げる白石に、戻らないと撃つぞ、と杉元は銃を向けます。が、白石は今撃たれるのも後で撃たれるのも一緒だ、と逃げるのを止めません。

 その直後、パァーン、という銃声のような音が辺りに響き渡ります。

 「ニプシフムだ」

 一人小屋の前で待つアシリパが呟きます。ニプシフムとはアイヌ語で「木が裂ける音」を意味します。急激な温度変化によって樹木の水分が凍結し、木の幹が文字通り裂ける現象です。マイナス30度という猛烈な寒気が山の上から来ていることを示す音だったのです。マイナス30度ってもうロシアでも寒い地域の気温レベルの寒さですね。北海道ってそんなに寒くなるときがあるのか……。

 そんなことを知らずに追いかけっこをする杉元と白石の二人は不意に脚を雪に捕られたかと思うと、次の瞬間、ずぼっと体ごと埋まって崖から放り出されていました。二人は雪庇(風によって雪がひさしのように成長したもの)の上にいたのでした。  

 

 

・7話「脱獄王」

 扉絵が雪庇から転げ落ちる二人というちょっとシュールな絵ですが、彼らが落ちた先は何と水。マイナス30度の寒さが襲いかかる中、さらに水の冷たさも合わさって凍死の道へと一直線。冷え性の私としては考えたくない光景です。寒いとか冷たいとかを通り越して全身痛いはずです。ていうか死ぬ。

 火をおこさないと死ぬ。そう思った杉元はマッチで火をつけようとしますがマッチが濡れてしまって付きません。

 白石は寒さのあまりトンチンカンなことをしたり、ぼーっとしてしまったり。低体温症になると思考力低下と無関心な表情になってしまうそうな。ヤバいな。

 杉元はマッチがダメなら銃の弾丸の火薬で火をつけようと考えますが、銃は雪庇の上。弾薬盒(だんやくごう)の弾丸も全て水の中。正に万事休す。

 しかし、そこは不死身の杉元。簡単には諦めません。

畜生ッ あきらめねえぞ 絶対 生き抜いてやる

俺は不死身の杉元だッ

 そう叫ぶなりなんと水の中へダイブ。水の中に落ちた弾薬を探し始めたのです。

 それを見た白石ははっと何かを思いだし、杉元に

「取引だ! 協力するから俺を見逃せッ」

 と言い出します。取引もクソもあるか、と凍えながら叫ぶ杉元に白石は、取引に応じないならそのまま凍え死ぬお前を見てから死んでやる、と言います。

 再度白石が取引に応じるのか、という問いに杉元は、わかったからさっさと探せ、と叫びます。すると、白石は口から今度は弾丸を出しました。

「牢屋の鍵穴を撃って壊すときの備えさ。寒すぎて忘れてた」

 口から弾丸を出したことに唖然とした杉元ですが、そうこうしてる暇はありません。すぐさま木と弾丸を使って火を起こすことにし、それに成功した二人はまるで戦友のように肩を抱き合うのでした。

 

 たき火の近くで服を乾かしながら暖を取る二人。

 所謂体育座りのような形で座る二人は、囚人について話していました。

「入れ墨の囚人は全部で24名だ」 

 24名。それが目的の入れ墨を入れた囚人の数です。現時点では白石と1話のオッサン、そして3話の男と3人出てきているので残り21名いるということですね。

 白石はのっぺら坊の仲間のことは知らず、知っているのは脱獄犯の親玉のみだそうです。

 親玉はどんな野郎だ? と杉元は聞きます。白石曰く、獄中ではおとなしい老人で模範囚を装っていたが、脱獄の際は屯田兵から刀を奪って瞬時に3人を斬り殺した、と。後で知ったところによると函館戦争の敗残兵、つまりは旧幕府軍の侍だったとのことです。そして看守の噂によるとこの老人はなんと、新撰組鬼の副長土方歳三らしいとのこと。まさかの土方。史実では箱館戦争で死んでいましたが、この作品じゃあ生き残っていたわけですね。しかしこの土方の絵、かっけぇ。言葉じゃ難しいのでこのキャラが描かれてる3巻表紙を出しますね。

 

 こんなかっちょいいジジイになってみたいぜ……。

 

 服が十分に乾いたのか、去ろうとする白石は最後に杉元にある情報を教えます。

「俺たち囚人はのっぺら坊にこう指示されていた」

「小樽へ行け」

 囚人について色々と教えられたためか、杉元は白石に金塊を諦めてさっさと北海道を脱出したほうがいいぞ、と伝えます。が、白石はそれに対して

「俺は脱獄王だ。誰に捕まろうが煙のように逃げてやるさ」

 あばよ、不死身の杉元。そう言って白石は去っていきました。

 凄く印象深いキャラだったのですが、どうやらレギュラーになるようで、9巻表紙の絵がこの白石でした。

 

 こんな感じの奴です。

 

 そしてラスト。

 北海道のどこかにある陸軍の建物内。

「鶴見中尉殿ッ 尾形の意識が回復しました」

 その男の声に、本を読んでいた鶴見中尉と呼ばれた男が反応します。

「そうか では見舞いに行ってやろう」

 な、なんだこのヤバそうな男…ッ!?

 鶴見中尉と呼ばれた軍服の男はおそらく5話の最後で馬に跨がっていた男でしょう。何がヤバいって、まず顔に大きな額当てをしてます。顔に怪我の跡ようなものが見えるので、戦争で頭を吹っ飛ばされたかされた跡を隠すためにつけてるんでしょうかね。そんな異形の顔もさることながら、目がヤバい。ハイライトの無い大きな黒目が狂気を感じさせます。ぶっちゃけ言葉じゃ説明できないので実際に見た方が早いです。もしくは4巻表紙がこの鶴見中尉の絵なのでそっちを見てみましょう。

 

 

 ね? ヤバそうな人でしょう?

 で、最初私は見逃しちゃったんですが、この鶴見中尉の後ろに、なんと入れ墨人皮があるじゃないですか。尾形上等兵のような第六師団のはずれ者だけじゃなくて師団自体も金塊を追っているのでしょうか……?

 

 といったところで1巻は終了です。

 

【感想】

 前半はアクション多めでしたが、後半も見応えあるアクションが多くて面白い。今回は人対人の戦いがメインでしたね。

 展開が目まぐるしく変わるテンポの良さも、前半の感想でも言っていましたがやっぱり良いですね。どんどん話が進む上、唐突な展開もないので読者としては飽きずにすんなり読めます。

 また、途中途中に挟まれるアイヌや歴史の知識が物語の理解を深めてくれるのもポイント。くどい説明もないので良いですね。ただ、当たり前ですが日露戦争あたりのことを知っとかないと少しわからない所があるかもですね。とはいえ中学校とかで使った歴史の教科書でも見返せば十分だと思います。

 あと、途中に出てきたハンティング要素とグルメ要素も見逃せないところ。サバイバル漫画なので狩猟と料理とは切っても切り離せない部分です。今回はリスしかありませんでしたが、次はウサギが食材となるでしょう。にしてもリスのチタタプは美味しそうだったなぁ。機会があれば食べてみたいですが、アイヌ料理の再現してる店とかあるのでしょうかね?

 

 後半で印象に残った部分はやはり尾形と杉元の戦闘シーンですね。「惚れた女のためだ」と杉元が言うシーンのかっこよさもさることながら、そこから瞬時に戦闘に移るテンポの良さ、即座に腕を折りに行く杉元の躊躇の無さと、腕が折れても悲鳴一つあげない尾形の異常さ、など印象に残る点が多々ありました。

 それとリスを食べる所ですね。脳みそ食べるところは笑えますし、チタタプはマジで美味しそうでしたし。2巻でも食事シーンには期待してますw

 

 さて、長くなりましたがこれで1巻の感想は終了です。凄く長くなってしまったので、2巻以降はちょっと書き方を考えようかと思います。長すぎても読みにくいですからね……。

 それでは次は2巻の感想でお会いしましょう。次の更新はもっとはやく行う予定です(汗)

 

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