■外部リンク:ITmedia「人の気配を遠隔に伝える装置 静電気で体毛が“もわっ”と」(2021/10/8)
電気通信大学の研究チームが開発した、「人の気配らしい感覚を遠隔地にいる相手に伝える静電気発生装置」。
そもそも「気配」ってのが何を指す言葉なのか、という問題があるわけですが、今回の研究をまとめた論文の中では
「他者の存在の暗示的な提示であり、ユーザの認知的負荷を抑えつつ他者の存在する「場」を表現するための重要な要素」
と書かれています。
これでは少々難しくて、分かったような分からないような感じなので、上の記事でも使われている
「近くにいるだけで身体に“もわっ”と感じる触覚」
というのが、比較的分かりやすい説明かも知れません。
(ちなみに、この「もわっと」というフレーズは論文の中にも何度も登場していて、かなり重要なキーワードとされているようです)
「気配」を作り出す方法としては、湿度に着目したもの、音響に着目したものなど、様々なアプローチがあるようですが、今回の研究チームが注目したのは静電気。
今回の装置は、静電気を発生させることが出来るオモチャを9本並べたモノ。
これを使って、
- 被験者に「気配」っぽい感覚を感じさせることが出来るか?
- 出来るとしたら、どれくらいの距離で静電気を発生させるとよいか?
という実験を行ないました。
結果をざっくりとまとめますと、およそ8割の被験者が、装置からの距離10センチで「もわっと感」を感じたそうです。
ただ、距離の遠近よりも、袖のあるなしの方が実は重要だった模様で、
「“もわっと”感じる触覚を提示するためには, 少なくとも体毛が必要であることが分かった。静電気発生装置が帯電することで体毛が引き寄せられ, その際に毛が動くことで, “もわっと”感じるのだと考えられる」
とのこと。
なるほど、なかなか説得力があります。
これが「気配」なるものの全てではないにしても、この原理で感じることのできる「気配」も結構多そうな感じ。
今回の研究チームさんが「気配」に注目したのは、コロナ禍によって普及が進む遠隔コミュニケーションツールが、よりエモーショナルなモノとなることを目指してのことのようです。
このシステムが、今後どのように応用され、実用化されていくのか、私にはまだあまり想像できませんが、それでも何となく面白そうな試みではあると思います。
ご興味をお持ちの方は、是非元記事や論文もご覧あれ。