関係を侵す病 | 社会保障を考える

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 イタリア人作家・パオロ・ジョルダーノ氏は言う。感染症は「数学的な緊急事態」であり「関係を侵す病」だという。その意味するところは私には理解できないというか、ぼんやりと的を射てるように感じます。

 

「感染症の流行はいずれも医療的な緊急事態である以前に、数学的な緊急事態だ。なぜかと言えば、数学とは実は数の科学などではなく、関係の科学だからだ。数学とは、実体が何でできているかは努めて忘れて、さまざまな実体のあいだの結びつきとやり取りを文字に関数、ベクトルに点、平面として抽象化しつつ、描写する科学なのだ。

 そして感染症とは、僕らのさまざまな関係を侵す病だ」(『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ)

 

関係を侵す病となると、「自粛警察」というもの関連して日本では「世間」というものから迫るものが多いようですが、関係性の破壊という面から見てもいいと思う。新聞の投書にスーパーでマスクをするのを忘れた。それに気づいた人が「マスクをしていない人間に近寄るな」と言ったそうです。自分が悪いのだが、世の中「ギスギス」していないかという。これもパオロ・ジョルダーノ氏がいう「関係性を侵す病」のなかに含まれるのだろうか。