8月初めの酷暑のある日。

東博の「縄文展」に出かけました。(9月2日まで)

その日は、夜間開館も行われるようでした。

東博の特別展は、いつも長蛇の列なので、並んでいたら帰るつもりで出かけました。

幸いにも平成館の前の行列はなく、入館後も待ち時間はありませんでした。

混んではいましたが。

縄文の「美」に焦点を当てた展示です。

国宝6点が勢ぞろいです。

この火焔型土器に「芸術」を見出した岡本太郎の感性はやはりすごい。

火焔型土器をじっとみていると縄文人の豊かな精神性がなぜだか見えるような気がするから不思議だ。

そして、残りの5点の国宝は土偶。

 

考古学者の能登健氏はパウル・クレーの絵「人間」が「ハート形土偶」にそっくりなことに気づき調べたが、クレーが土偶を知っていたことはなさそうだという。(列島の考古学 縄文時代 能登健 河出書房新社 2011)

1万5千年の時を隔ててすべての虚飾をはぎ取った「人間」の姿が一致していることに驚く。

ハート形土偶

クレー 「人間」

 

狩猟採集民の縄文人は、文字も持たず、農耕もできず、世界文明から遅れた文明であった。

などとという、かつての縄文観。

から

「1万年以上も続いた持続可能社会」であった。

さらに、現代の「芸術」と同じような高い精神文化を持っていた。

という縄文観への変化に納得がいく展覧会だった。

(様々な耳輪をつけたり、ポシェットも持っていた、おしゃれな縄文人。)