いつのこっちゃというくらい間が空いてしまいましたが、林先生の講演「緩和救急~自分の人生、どう生きる?~」についてUPさせていただきます。
 
参加された方は救急関係の看護師さんが圧倒的に多かったのですが、在宅医の看護師さんや救急指導医の方や医学部を目指す学生さんもいらっしゃいました。そして、偶然にも、緩和医療学会専門医試験と同じ会場でした。専門医試験よりもこっちに参加するほうが有意義だぞ!と心の中で思いつつ、問題集とにらめっこのDr方を見送りました。
 
「緩和救急」、恥ずかしながら、林先生の造語だと思っていたのですが、ちゃんとそういう分野があるということのこと。アメリカでも超マイナーだというのは悲しい事実でしたけれど…。 林先生のお話はパワフルで、コミカルで、そして、痛い指摘が山盛りでした。
 
林先生のような救急医療のカリスマが、緩和医療に理解を示し、こうやって、講演してくださるのは本当にありがたいことにだと思います。身近にいる救急医は、自分たちは助けてなんぼ、ACPなんて自分の知ってことじゃない!在宅医(だけの)仕事だ!と言って憚らない方が多いのです。今回、参加してくださった救急関係の方も、在宅医療や緩和医療からの発信であったなら、こんなに集まっていただけなかったのではないでしょうか?林先生の講演だからこそ、これだけの方がいらしてくださったのだと思います。
 
後半のワールドカフェも白熱していました。参加者同士の意見交換も活発で、おおむね好評だったようい思います。
 
救急医療関係の方がACPに触れ、そして、考えていただけるきっかけをこの風と虹の診療所設立準備委員会の講演会という場で作ってくださった林先生に心から感謝申し上げます。

 

今、これからの課題だと感じているのは、多職種間と相互理解を促進する必要があるということと、各職種のレベルを上げるということです。

 

私は、フリーターですので、訪問診療もするし、救急外来で二次救急も担当します。一応、どちらの立場でもあるわけですが、救急では有無を言わさず(ひょっとしたらなんのアセスメントもないまま)、採血オーダーして、ルートとって、全身検索して、『正しい治療』を開始します。そういう流れで、救急医は多くの命を救っていらっしゃるわけなので、一つの正解ではあると思うのですが、もう一歩、踏み込んでいけたら、もっと、幸せ度が上がるかもしれないと感じることがよくあります。
 

また、高齢者施設のレベルも様々で、丁寧に介護されているところと、そうでないところとの差が大きいのが現状です。そして、病棟からは施設のレベルが見えないので、ついつい軽んじてしまいます。私も、病院勤めのときは、ちょっと嚥下が悪いと、嚥下訓練と称して老健や回復期ではないリハビリテーションができるという医療機関に転院させていました。でも、施設への訪問診療をしていると、しっかりした施設に帰っていただくほうが、病院でベッド上で過ごし、決められた時間だけ訓練するよりもはるかに状態がよくなることに気づきました。医療や看護ではなく、介護・ケアの力をまざまざと見せつけられました。退院して施設に戻ってこられる患者さんも、褥瘡だらけだったり、拘縮が進んでADLが低下しているケースが目立ちます。病院内で、できる範囲で頑張っておられるとは思いますが、早期に施設へという選択肢もあるということを念頭に置いていただけると嬉しいです。

 

講演会を企画してみて感じるのは、救急の先生をお招きした時は急性期医療の関係者、死別の体験をされた方をお招きした時は緩和や在宅関係者が多く参加され、、そして、アンケートでのリクエストも、急性期の方はは救急の先生を、緩和・在宅の方は緩和・在宅の先生を希望されます。当然と言えば当然なのですが、少し残念です。林先生のように、超急性期でありながら、ACPに理解を示しておられる方は後ごくごく少数です。こういうハイブリッドな人材が増えるといいなぁと思います。

 

そのために、風と虹の診療所設立準備委員会では、あえて、モザイク的な講演内容にしていきたいと思っています。ビジネス理論から言うと、対象を絞ることが大事だといわれます。が、私は、皆様が「テーマ」で選ぶのではなく、「風と虹の診療所設立準備委員会の講演」にいていただくことで、相互理解・交流が深まることを期待しています。

 

そして、救急医療、在宅医療、そして、入院という病院の医療に加え、施設スタッフ、訪問看護のスタッフ、その他、医療ではなく、介護にかかわ方の双方向での情報交換ができたらいいなと思っています。

 

 

余談ですが、医療関係者でない参加者から、DNRとDNARの違いを質問されました。

http://www.jaam.jp/html/dictionary/dictionary/word/0308.htm

こういう言葉の配慮も、多職種での交流には必要ですね。

 

WEBサイトはこちら https://www.kazetoniji-clinic.jp/2018/05/02/20190929kanwa/