秋の気配

 

 
今年ももうお盆を過ぎて…
 
先日、南御堂さんへと実家一族でうかがいました。
 

 

聴きながら読んでね💖

「少年時代」音譜井上陽水さん

 

 
松尾芭蕉が大阪で亡くなったのは知っていたのですが、南御堂さんの門前のお宅で亡くなっていたとは。
 
「旅に病んで夢は枯野を駆け廻る」
その日のその日が最期の日と覚悟して生きた俳聖の辞世の句です。
 
「金色の御堂に芭蕉忌を修す」
山口誓子
 
「翁忌にゆかむ晴れても時雨れても」
阿波野青畝
芭蕉が亡くなったのは1694年10月12日。
享年50でした。
 
50歳といえば現在では壮年。
人生が旅そのものであった芭蕉。
時は元禄。江戸時代の旅は想像を絶する厳しさに溢れていたのでしょう。
 
辞世の句の意味は「旅の途中で病に臥していても、夢の中では枯れ野を駆けめぐっている」とあります。帰れない旅への覚悟とそれよりも勝る、旅の中で感じたことを俳句に詠みたいという思いが見て取れますね。
 
お盆にしか伺わなくて恐縮ですが、南御堂さんに入ると街の喧騒がかき消されるような静けさに満ちています。死者への慈愛の満ちるこの場所で大切な人を思うひとときは本当に大切だと感じました。
 
 
南御堂さんの手水舎には愛らしい毬の飾りが…
 
その後我が一族は墓所へと移動してご先祖様へのお参りを済ませ、会食へ。
生きている者どもは旺盛な食欲に満ち溢れ、寿司をこれでもかとたらふく食べまくるのです。美味しいものを無我夢中で食べている姿は「これぞ人間。」と思わせるほどの熱量に溢れておりますね。
 
お盆を過ぎれば、あれだけ好きな白い服が着たくなくなる日々が続きます。
暑さの中にも言い知れぬ秋の気配が櫛で漉くようにすり抜けてゆきますね。
 
夏の終わりが四季の中でいちばん寂しい瞬間ではないでしょうか。
 
 

そんな秋には美味しいものがいっぱい…ぶどう