1月2日に行われた全国高校サッカー選手権3回戦。
前日に大地震に見舞われた北陸。
石川県の星稜高校のための応援団は派遣中止となった。
 
はずだった。
 
試合当日ピッチに足を踏み入れたイレブンを待っていたのは
 
喉を枯らすほどの大声で応援する人々。
星稜高校同窓会関東支部の呼び掛けにより集結した彼ら。
日大藤沢、岡山工芸の選手を中心とした、星稜のための応援団である。
 
力を合わせ急ぎ作った横断幕には星稜、石川県への激励の言葉があった。
「最高の場所へ 俺たちは共に」
…最高の場所?まさにここが最高の場所だ。
そして
「市船ソウル」でも有名な市立船橋高校の応援席にもエールがあった。
チアの手には「ともに 全力で 北陸魂」
市船の大応援団の手には
「石川 共にがんばろう!」
「被災者の皆様に1日でも早く日常が戻りますように 『市船』」と。
市船イレブンの手にあるのは
「力をあわせて乗り越えよう」
この言葉を、手ではなく心に掲げて試合に臨んだ選手たち。
応援団の派手な黄色のこのコスチュームは、黄色いごみ袋を工夫して作ったものだ。
星稜高校のユニフォームの色に合わせるための黄色。そこにはそれぞれの応援の言葉が書いてあった。
 
そして彼らの握りしめるメガホンは市立船橋の野球部と女子バスケット部から貸し出されたものだという。
 
試合開始の時には空きの目立つ応援席が見る間に人で埋まり、いつしか大応援団に膨れ上がる。
動画を見たが、凄い力のある応援だ。
腹の底から出す声で音が割れている。
 
衣装がバラバラなチア。しかし振りはぴったり合っている。

 

 

試合は市立船橋の勝利。
そして、試合の最後に星稜高校の選手や関係者の皆さんが向かったのは市立船橋の応援席。
言葉では尽くせぬほどの感謝を込めて、深々と一礼した。
 
 
すごいものを見せてもらった。
市立船橋の監督は「サッカーファミリーですから」と言ったそうだ。素晴らしいスピリットである。
 
この場所にいた選手や応援の皆さんはまだ高校生。ほとんどがアマチュアと呼ばれているかもしれない。
しかし困ってある人に手を差し伸べ心に寄り添い、共に在ろうとする気概は人間としては既に、プロフェッショナルだと思う。
 

 

「progress」🍀スガシカオさん