難病ミトコンドリア病に光、しかし3人の親を持つ子誕生も | かずのつぶやき

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難病ミトコンドリア病に光、しかし3人の親を持つ子誕生も

 細胞に多く存在しエネルギーを生産する小器官、ミトコンドリアの異常で起きる遺伝性の難病であるミトコンドリア病の予防を目的にあらたな治療が考えられています。

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 遺伝情報を含む受精卵のを、別の女性から提供された核を取り除いた卵子に移植し、核は両親由来で、ミトコンドリアを含む細胞質は他人のものという受精卵を子宮に戻す。
 という治療について、英国政府が実用化のため来年の議会で法改正を目指して検討を始めていることがわかりました。

 言ってること、分かります?

 核の中には遺伝情報である遺伝子DNAがつまっていますがミトコンドリアも独自の遺伝子(mtDNA)を持っています。

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 ヒトを含め大部分の動物でミトコンドリアDNAは母系遺伝をすることが確認されました。精子も細胞ですから20程度のミトコンドリアが存在していますが卵子と融合した後でなぜか精子由来のミトコンドリアは消滅してしまいます。

 従って我々の体内にあるすべてのミトコンドリアは、体細胞のDNAと違い、すべて母親から受け継いだものなのです。  

 まず卵子のミトコンドリアに異常があるため、精子と受精した受精卵のミトコンドリアに異常があります。そこでまず異常のあるミトコンドリアを含む細胞質から、両親の遺伝情報を持つ核のみを取り出します。

 次に正常なミトコンドリアを持つ他人の卵子からその他人の遺伝情報を持つ核を取り除いた核無し卵子を作ります。

 それに取り出した核を移植して新たな受精卵を作って母親の子宮に戻すのです。

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 しかし、この場合あらたに作った受精卵(胚)は両親の遺伝子と、別の女性のミトコンドリアの遺伝子も受け継ぐため、生まれた子供は遺伝的に3人の親を持つことになり倫理的な問題を指摘する声もあります。

 心臓や骨格系などに異常をきたすミトコンドリア病の大半は細胞質に含まれ母親から子供へと受け継がれるミトコンドリア遺伝子の異常が原因です。
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 ミトコンドリアに異常がある受精卵から核だけを取り出し正常な卵子に移植して子宮に戻すことで生まれる子供のミトコンドリア病を防ぐことができるとされています。

 子供が核無し卵子を提供した女性から受け継ぐ遺伝情報は全体のうちごくわずかな割合で、子供の外見的特徴などには影響を与えないそうです。

 母親から子どもへと受け継がれるミトコンドリア遺伝子は37個で22,000個ほどの核の遺伝子とは異なり、数の上では千分の一ほどではあるため、「子どもの外見的特徴などには 影響を与えないという」ということになるようです。

 そこまでやるかね。

 英国で政府の研究監視機関・人受精発生学委員会(HFEA)の認可を受け実用化に向けた研究が進められてきました。

 HFEAはこの手法について「世論からは広範な支持を得られている」とコメントしているそうです。

 ほんとですかぁ?
 
 しかしこれは英国ではこの病気で7人の子供を失ったシャロン・バーナードさんが注目されていることがあるようです。

 BBCNatureでも議論されていますが、「3人の親」という倫理的な問題はもちろんですが、それ以前に、受精卵にそんな手を加えていいのでしょうか。

 また、遺伝子異常を単純に「病気」ととらえ「治療」することは、最近日本でもやっと議論が盛んになってきたダウン症などの染色体異常に対する出生前診断やそれに伴う人工妊娠中絶とはまた様子が違った意味を含んでいるように思います。

 遺伝子の不具合から起こるミトコンドリア病だけではなく、ミトコンドリアはさまざまな役割りを担っています。

 例えば生存力の強いミトコンドリアが分かれば、その卵子に移植してスーパー人間をつくるとか。

 不妊治療に応用するとか。(実際“ミトコンドリアにいいサプリ”というのはあります)この場合若いミトコンドリア卵子に移植するっていう治療ね。

 まあ、もともとミトコンドリアは別のバクテリアで、それが取り込まれて細胞の一部になったようですからただものじゃありませんね。