水道水や農薬に含まれる物質が食物アレルギーに関連
水道水の中に含まれるジクロロフェノールと呼ばれる化学物質が食物アレルギーの発症の一因となっている可能性があることがわかり、研究結果が Annals of Allergy , Asthma and Immunologyの12月号に掲載されました。
米国アレルギー・喘息・免疫学会(ACAAI)の研究グループによると、この物質は農薬の製造にも用いられ、農薬処理された果物や野菜にも含まれている可能性があるそうです。
研究の筆頭著者であるElina Jerschow博士は「高濃度のジクロロフェノールを含む農薬が食物アレルギーを引き起こす可能性がある」と説明しています。
ジクロロフェノールは水道水のあのニオイの元で、水道水の中に殺菌のために含まれている塩素とフェノールという物質が結合してできた化学物質です。
フェノール類はプラスチックや染料、医薬品などの化学物質としてひろく用いられています。
天然水中には存在せず、単体には強い毒性がありますが、水道水のなかに紛れ込んだごく微量の水質基準値程度では健康影響は問題にしなくても大丈夫です。
しかし、フェノールを含有する水は、水道の塩素処理によってクロロフェノールを形成し、特に2,4-ジクロロフェノールは、極微量であっても水に不快な臭味をつけることが知られています。
「フェノール類」の基準値は、異臭味障害の防止の観点から定められたものです。(水道の水質基準は「健康に関連する項目」と「水道が有すべき性状に関連する項目」に大別できますが、フェノール類は後者に属します。)、ニオイの他には健康に及ぼす影響に関してあまり注目されていませんでした。
今回の研究では全米健康栄養調査に参加した6歳以上の2,200人を超える対象者について検討しました。
1種類以上の食物に対して過敏性のある人は、アレルギーのない人に比べて、尿の中のジクロロフェノールの値が高いことが分かりました。被験者のうち400人以上に食物アレルギーがみられ、1,000人以上に環境アレルギーがみられました。
米ノースショア大学病院(ニューヨーク州)職業・環境医学センターのKerreth Speath博士は「少ない量でも農薬への接触は誰にでも日常的に起こっていることであり、特に注意する必要がある」と話しています。
免疫システムの発達は胎児期から小児期を通して続くことがわかっており、この時期に農薬に曝露することによってアレルギーのリスクが高まると考えるのは妥当だと博士はコメントし、この問題についてさらに研究を重ねる必要があるとしています。
Jerschow博士もこの意見に同意し、「今回の研究は食物アレルギーと環境汚染の増大が関連している可能性を示すものだ」と述べています。
水道水をボトル入の水に切り替えたとしても、農薬処理された果物や野菜などの影響のほうが大きい可能性があると話しています。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、米国では1997年から2007年までに小児の食物アレルギーが18%増加しているそうです。特によく見られる食物アレルギーは、乳、卵、ピーナッツ、小麦、木の実類、大豆、魚、甲殻類などで、症状は軽度の発疹からアナフィラキシーと呼ばれる生命に関わる反応まで幅広く発症しています。
命に関わるアナフィラキシーショックの例は、去年あった給食でチーズ入のチヂミをおかわりして亡くなった小学生の事件がありましたね。それほど食物アレルギーは恐ろしいものです。
Speath博士はこの他、農薬曝露を軽減するために次のことを勧めています。
・ 自然食品を中心とする食事を摂る
・ 農薬が使用されている区域、建物、庭に入らない
・ 家庭での農薬の使用をなるべく避ける
・ 地元の学校に無毒性の害虫駆除を促進する取り組みを勧める
だそうです。
まあねぇ。
「自然食品」に関しては小児の発達については一般の食品と変わらず、逆に「自然食品」は高価なために、果物や野菜の摂取量が減るからご注意。なんて意見もあるようです。《有機食品栄養価は変わらず、子供の発達にも関係無し》
また、「立ち入らない」ってたってねぇ。原発じゃないんだから‥‥。
博士はいつも何を召し上がっていらっしゃるのでしょうか。