戦争ストレスが胎児に影響

 以前おかあさんの受けたストレスは胎児に影響を及ぼして、死産、流産率が高くなるという [妊娠中のストレスが死産率を高める]をお話しましたが、今回はもっと強烈に「戦時中おかあさんが受けたストレスがうまれた赤ちゃんが後年、統合失調症になるリスクが特に女の子で高くなる。」という報告です。

 ニューヨーク大学のDolores Malaspina博士らは1964年~76年にイスラエルのエルサレムで生まれ、イスラエル精神科登録に出生記録が残されている8万8,829例を分析した結果、母親が妊娠初期に戦争地域で激しいストレス下に置かれた経験があると、その母親から生まれた子供は後年、統合失調症を発症するリスクが高まることをBMC Psychiatry(2008;8:71)に発表しました。

 中東戦争の赤ちゃんへの影響

 今回の報告によると、1967年の第三次中東戦争、いわゆる「六日戦争」のとき妊娠2ヶ月だったと推定されるおかあさんから生まれた女の子では、その後21~33歳になるまでに統合失調症を発症するリスクが4.3倍でした。この傾向は女の子に顕著で、男の子の場合はストレスの多い時期に胎内にいなかった場合に比べて1.2倍しか増えませんでした。

 博士はストレスを受けた母親の子供でその後の統合失調症発症リスクが高い理由について「胎盤は母体のストレスホルモンに敏感で、戦時にはこれらのホルモン分泌が増加するのだろう。」と指摘し、「同様のストレスは地震やハリケーンなどの自然災害、肉親や親しい人との突然の死別など戦争以外の状況でも認められる」と話しています。

 おなかの中で発達途上の胎児はストレス機能を正常化するために母体のストレスホルモンにある程度曝露される必要があるようですが、戦争のストレスはご免こうむりたいです。
 「高レベルの不安やストレスを自覚している女性は妊娠する前にこのような問題に対処し、妊娠中は良好な感情支援プログラムを受けられるようにしておくべきである」と博士は付け加えられていますが、それが出来ないからストレスになっているんですよねぇ。