この文章は、僕の師匠のとしちゃんの新作短編『電波を受信する男』に着想を得て書いています。気が向いたら続きも読んでみてくださいね。

 

 

さて、僕自身のお話ですが22歳の若いころのインド旅行で、僕は霊力を身に付けたと本気で思いました。お恥ずかしい話です。

 

だって、人の考えていることが手に取るように分かるかのように幻聴が聴こえてくるのですから。

 

それで、市民病院の精神科を受診して霊力が本物か確かめようと考えたのでした。お医者様は初診で30分ほど辛抱づよく親身に話を聴いてくださいました。そして否定も肯定もせずに通院することになったのです。

 

いまのぼくなら手に取るように分かります。ああ、統合失調症を発症したんだなと。でも当時の僕は病名すら知りませんでした。

 

ところで、もし本当の霊力だとしたらどうでしょうか?幻聴は少なくともどこにも連れて行ってくれません。ただ非生産的な苦しみのみを与えます。そして家族を含めた周りを不幸にするでしょう。本人の自覚の有無とは別に。だって本人は分からないのですから。

 

ですから、むやみに神格化したり、逆に差別するのはやめましょう。これは一つの脳の機能異常に過ぎないのですからね。

 

ふとそんなことを思い出しました。