前回、番組さんについて触れたのでその続きとこの機会ですので、それに関係する中野浩一さんの提言について考えてみましょう。
まず、競輪は興行なので他の公営競技同様全くフェアなレースではありません。
オリンピックの100m走とはそもそも趣旨が違います。
決勝戦、初日特選、G1のゴールデンレーサー賞等、今では数少なくなった順位決定戦以外(他にあるかな?)は全て番組さんが出走メンバーを操作しています。
上記のレースでも少なくとも車番はいじれます。
大ギアと誘導員のピッチが上がり、抑え先行よりカマシと突っ張り先行が有利になった今では車番は予想に大きな影響を与えるファクターになりました。
昔は抑え先行が王道で後攻めが有利だったんで、アナウンサーの方が前攻めを「正攻法」とか言うと「逆でしょ」とか思ってましたが、この頃はしっくり来るようになりました。
1990年の坂本勉さんが勝ったGPの2回出走やり直しに代表されるような、出渋りのスタートが頻発していた時代、私は車番のことなんか全く考えていませんでした。
https://www.youtube.com/watch?v=9oPvNFg0taU
今大会の冠の中野浩一さんは「番組や車番は抽選にすべき」とおっしゃってます。
https://www.nikkansports.com/public_race/news/202312260000133.html
ですが、自動番組にすれば、単騎が増えたりして、現在のライン戦は崩れてしまいます。
SSが1つの準決勝に全員集まったり、自力が一人もいないレースやその逆も十分起こり得ます。
その当時、手の付けられないほど強かった中野さん(生涯1236回出走、1着、666回、9着はわずか4回)は、常に自分がいい着になるように走ってました。
皮肉にも、言わば「中野潰し」のためにフラワーラインが生まれ、それが現代競輪の妙味とも言える地区ライン戦として今に受け継がれています。
ラインには協力して強者を倒すという一面があるその特性上、どうしてもSuicide Attack(死に駆け)を伴います。
以前に吉田拓矢選手が失格になった暴走規定は一応あるものの、
それを厳密にしすぎるとライン戦は意味を成さなくなってしまうでしょう。
確かに宮杯の決勝で、初心者の方が全日本選抜を勝った郡司くんを信じて頭で買ったとしたら失望したことでしょう。
中野さんのように建前ではなく全員が1着を目指して走るべきという人の意見もわかります。
ですが、そうすると競技のKeirinやGirlsと同じようなレース形態となって行くでしょう。
70年以上の歴史を以って変遷を遂げ「成熟したスポーツ」国技競輪はその姿を変えることになってしまいます。
(※スポーツの語源は「楽しむ」です。)
それがファンのために良いことかどうかはわかりません。
私のようなAfter中野のファンは遠ざかるような気がしますし、新たな若い層で盛り上がるのかも知れません。
話を番組さんに戻すと、ライン戦を支えている番組さんは現代競輪にはなくてはならない存在です。
世の中の常識から外れているのかも知れない(常人に競輪を説明しても中々理解されないでしょ?)ですが、私たちAfter中野の競輪ファンは番組さんが書いた「筋書きのあるドラマ」を楽しんでるんです。
もちろん私だって、パリオリンピックでの太田海也くんの「筋書きのないドラマ」は大変楽しみにしてますよ。
ただ、それはたまにでいいかな。
ハリウッドムービーが好きかドキュメンタリーが好きかのような話です。
私個人の意見としては、年1回の自動番組の「共同通信社杯G2」もあるしGirlsも盛り上がっており、多様性も同時にあるので今のままでいいんじゃないかと思います。
https://keirin.netkeiba.com/news/column_detail.html?id=2299
おまけ~~~
取手記念2日目番組パターン
レース 展開パターン 力差_AB
1 3分戦_C (h)_a三b三c三 7.1
2 3分戦_C (h)_a三b三c三 0.3
3 3分戦_B (h)_a三b三c一d二 7.2
4 4分戦_A (h)_a三b二c二d二 6.1
5 3分戦_A (h)_a三b三c二d一 16.8
6 3分戦_B (h)_a三b三c三 9.2
7 4分戦_D (h)_a三b二c二d二 1.9
8 4分戦_D (h)_a二b二c二d一 6.2
9 3分戦_B (h)_a二b三c三d一 1.1
10 4分戦_B (h)_a二b三c二d二 4.6
11 3分戦_B (h)_a三b三c三 9.6
12 3分戦_C (h)_a三b三c三 9.9
今回は初日よりも2次予選の方が堅そうですね。
平均力差_AB 6.7