さらにその翌日には、同じくその遺体が安置されている葬儀屋本社にて、『最後のお恩返し』と言われる、まるで生きているかのような美しい死化粧を施し、全身白の衣装(柄はシャドーヘリンボーン)の死装束を左前を合わせて着させ、納棺する儀式が行われました。

 

母が好きだった色ということで、打ち合わせの時に僕が選んだ 、

 

 

着物のような高級感のある生地で覆われた淡いグリーンの棺が、涙が出るほど美しく、僕以上にカラフルなものを好んだ母の、ほんのりと赤い口紅で飾られた口元が少し緩んだように見えたのは、僕の思い込みでしょうか?

 

 

どうせ燃やしてしまうからと、シンプルな木棺にしなくて本当によかった...本葬の時は、この周りに、グリーンと匹敵するぐらい母が好きだったパープルのお花を飾ってもらうことにしたので、最後はそのお花たちも棺に入れられ、もうこれ以上ないほど華やかで、大好きな色に囲まれながらの出棺となる予定であります。

 

それにしても89歳にして、シワが一本もないその寝顔を見ていると、つくづく自分の顔にそっくりだなぁと思えてきたと共に、性格や趣味に関しても、超がつく犬好きで色や柄キチ、食べることが大好きで、基本自分が好きなこと以外は一切興味を示さなかったと思い起こすと、やはり男 3人兄弟の中で、完全に僕が一番その血を継いだのは、誰からの目からしても明らか...笑。

 

僕が今まで長年、こんな保証もない不規則な仕事で順風満帆に生きてこれたのも、全て母のおかげなんですよね。

 

(続く...。)