#1213 舞台『骨と軽蔑』 | 特に役に立つわけでもないブログ

特に役に立つわけでもないブログ

個人的な雑記ですから。

 

 

 

 

 

『骨と軽蔑』とかいうタイトルを見ると、何か哲学っぽい理屈をこねくり回すような芝居なのかという感じですが、内容はチラシにも「辛辣なコメディを作ってみたい。会話劇だ。」とあるように、ちょっとシニカルなコメディという感じでしょうか。観終わった第一印象としては、なんだか“落語”を見たような感じでした。会話劇とあって登場人物が繰り出す“会話”で舞台には出てこないいろいろなことを想像させてくれるのが楽しく、またその会話が微妙にズレていたり、突拍子もなかったりと笑わせてくれました。そのようなところが“落語”と共通しているように感じた一因なのかもしれません。

 

 

 

 

 

話の舞台は内戦で東西分裂しているどこかの国ですが、そんな深刻なお話ではありません。演出のケラリーノ・サンドロビッチさんや登場人物の名前から、たぶん東ヨーロッパの国なのでしょう。登場人物はその内戦にも関係しているある一家の女性7人のみ。その7人を演じるのが、宮沢りえさん、鈴木杏さん、犬山イヌコさん、堀内敬子さん、水川あさみさん、峯村リエさん、小池栄子さん。舞台だけでなく様々なメディアで名前を聞くことが多いこの芸達者な7人が、喧々諤々(ってほどでもないけど^^;)とやり合うのを楽しく観ているだけで、あっという間に時は過ぎてしまいました。そして、最後にこの舞台設定が、内戦の戦時中ということが大きな影響を及ぼすというのが、落語でいうところの“オチ”になるわけですね。それではお時間がよろしいようでというところで幕引き。

 

 

 

 

 

毎回、舞台を観劇するときに、芝居の内容とともに興味深いのが舞台セット。大きい劇場だと舞台自体がクルクル回ってセットが変換するけど、今回の『骨と軽蔑』では屋敷のリビングと庭が半々に同一化しているセットでした。それなので、ある時はリビングのテーブルだった小道具も、別の時は庭のベンチ。庭に流れている小川とそれにかかる橋は、室内のシーンでは無いことになっていて、それは芝居と観客とのお約束。庭にいる体の人をリビングにいる人が呼んで笑いを取るシーンもありましたが、芝居内容や劇場に合わせて工夫を凝らせて作られるセットも、生の舞台に興味をそそられる要因の一つということを再確認させられました。