#1188 映画『ゴジラ-1.0』 | 特に役に立つわけでもないブログ

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個人的な雑記ですから。

 

 

 

 

 

またゴジラかぁ、東宝は“喉元過ぎればゴジラ映画”だなぁ…と思いながら観に行きましたが、これが良い方向に期待を裏切る傑作でした。どこが傑作だったかというと、まずはゴジラ中心ではなく、それ以外の人間のストーリーがしっかりと形成されている。『ゴジラ-1.0』というタイトルは1954年の『ゴジラ』第一作目より前の時代ということらしいですが、舞台となったのは第二次世界大戦で敗戦しボロボロになった1940年代の日本。その当時の人々の心情が細かく描いていて、ゴジラ無しでもこの映画は成り立つのではないかと感じさせてくれます。

 

 

 

 

 

さらに、ただ単にゴジラに人々が搔き回されるのではなく、知恵を出し合ってゴジラに立ち向かっていくという姿を描いている点にあると思います。政府でも軍隊でもなく、名も無い人々が自らの命を顧みず強大な敵に向かって立ち上がる姿は、初期の『ゴジラ』に通じるものがあり、利己主義が蔓延する現代社会へのアンチテーゼであり、人が成長する過程で欠かせないものが描かれていた“人間ドラマ”になっていると思います。

 

 

 

 

 

その人間ドラマを支えている俳優陣も素晴らしい演技だったと思います。特に弱々しかった青年が強大な敵に怯えながらも立ち向かい成長する姿を演じた主演の神木隆之介さんは好演だったと思います。神木さん自身もこの映画を境にもっと大人の役者さんになっていくんじゃないかと思わせてくれる感じがしました。(朝ドラは見ていなかったのでスイマセンm(__)m総集編が放映されたら観ます^^;)あとは安藤サクラさんが良かった。なんとなく樹木希林さんを観ているように感じました。

 

 

 

 

 

当然、人々を恐怖のどん底に陥れる“真の主役”であるゴジラの描き方も、東宝ゴジラ映画の中ではナンバー1ではないかというクリエイティヴの高さを感じました。まだ被曝する前(?)のゴジラが恐竜のように口で人を咥えて投げ飛ばすなんてシーンはちょっと目からウロコの思い。銀座で暴れまくるゴジラの動きの迫力は、あの“ハリウッド版ゴジラ”をも凌駕するようなVFXの技術の高さを感じさせてくれました。日劇を木っ端微塵に壊されては、最近話題の笠置シズ子さんもビックリしたことでしょう。(笑)

 

 

 

 

 

また、人々に襲い掛かるゴジラの狂気の表情が、より一層のインパクトをスクリーンに与えてくれていたと思います。ゴジラにより表情を付けクローズアップさせたのは、VFXも担当した山崎貴監督のゴジラ愛を感じられました。ゴジラの放射能熱線で起きるキノコ雲や爆風は、日本人でないと描けないシーンだったと思います。今回の『ゴジラ-1.0』はゴジラ映画の70周年記念作品で東宝ゴジラ映画30作品目なのだそうですが、“ゴジラ”というコンテンツはただの怪獣映画ではなく、このような素晴らしいクリエイターに育まれてきた映画なのだということを強く感じさせてくれました。