#881 映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』 | 特に役に立つわけでもないブログ

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個人的な雑記ですから。

この映画は小説「人間失格」を映画化したものではなく、小説家・太宰治とその正妻、そして2人の愛人の間にあった実話を元にした映画。実際にも太宰治とカブるような印象がある(?)小栗旬さんが、太宰治の刹那的な生き方を実に巧みに演じていたように思います。正妻役の宮沢りえさんは凛と美しく、愛人1号(笑)の沢尻エリカさんは華麗に美しく、愛人2号(汗)の二階堂ふみさんは可憐に美しく…女優さんたちの演技合戦も見応えたっぷりでした。

 

 

 

 

 

監督は写真家の蜷川実花さんで、その独特の色使いが今回も作品を見事に彩っていました。太宰のくすんだ藍色の壁の書斎に対し伊豆の桜が咲き乱れる風景。“戦後動乱期の文壇”という怪しい世界を映し出す料亭やバーなどなど。この映画はこの色彩の世界がなければ完成しなかったのではないかと思わせてくれるほど、“色は”重要な部分を担っていたと思います。また、多くのシーンで“花”が写っていたのも印象的でした。

 

 

 

 

 

ワタクシはまったく“太宰マニア”というわけでもなく、初めて太宰治を読んだのは教科書に載っていた「走れメロス」。その後は「斜陽」と「人間失格」くらい。「走れメロス」の生き生きとした作風に対して、「斜陽」、「人間失格」の太宰治には、自らの寿命が尽きることを知っているかのように滅びるものへの美学があると言われますが、愛人をヒントにしてまで作品を書こうとする意欲は、もの凄い執念と生命力のパワーを感じる部分でもあり、太宰治という作家の作品が延々と愛される所以なのではないかと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

チラッと壇蜜さんも華を添えていましたねぇ(^^;