今回はタイトルの通り、『差額ベッド代』についてです。

 

『差額ベッド代』とは特別療養環境室と呼ばれる、入院環境が良い病室(簡単に言うとベッドの数が4床以下の個室や少人数部屋)に入院した場合に負担しなければならない費用のことを言います。

 

差額ベッド代は、健康保険適用外(高額療養費制度適用外)の費用となりますので、入院費用のうち、医療費よりも高額になってしまうケースもあります。

 

そのため各保険会社の営業の方などは「差額ベッド代は平均で一日あたり6,144円かかり負担になりやすいので医療保険に多めに入りましょう」というような話をする傾向にあります。

 

上の話が完全に間違っているとは言いませんが、話を聞く上で知っておかなければならないことが以下の2つあると思っています。

 

①あくまで平均であること

②差額ベッド代は必ずかかるものではないこと

 

まずは①について知るため、厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」の最新データを見てみましょう。

 

たしかに全体の平均は6,144円です。

しかし、見てわかるように1人室の平均は7,797円、2人室は3,087円、3人室は2,800円、4人室は2,407円となっております。

つまり個室は約8,000円、2〜4人部屋だと約2,000〜3,000円くらいですから、平均の6,144円だと個室の平均には足りないし、2〜4人部屋の平均よりはずいぶん高いわけです。

 

さらにこれはあくまで平均値です。

差額ベッド代の最高額は一日で378,000円というスイートルームのようなところもあれば、最低額だと一日50円ですから、平均なんてあまりあてにはなりません。

あくまで病院によって異なります

正確なものはわかりませんが、経験上、東京はやや高いところが多く、地方は比較的安いところが多いように感じます。

 

ちなみに厚生労働省に直接電話して「もう少し細かいデータや中央値などを教えてもらえないか」確認したのですが、「この様式で各病院から提出してもらっているのでこれ以上のデータはない」とのことでした。(厚労省や総務省などによく電話をしますが毎回すごく親切丁寧に教えてくださっており、冷たく断られているわけではありません)

 

ということで、「平均」に捉われず、個室がいいのか、4人部屋くらいでよいのかなどご自身の価値観に合わせて、必要だと思う分だけ用意するのが良いと思います。

 

次に②の差額ベッド代は必ずかかるものではないということの説明をします。

 

そもそも差額ベッド代は、お金を払ってでも良い環境での入院を患者自身が希望する場合に発生する費用なのです。

 

この原則を患者も病院もきちんと理解しておらず、トラブルとなるケースが多かったので、今年の春に厚生労働省は以下のような通知(保医発0305第6号)を出しました。

 

 

簡単に要約しますと、

・患者の自由意志で選択していること

料金などについても丁寧に説明されていること

・文書に内容が記載してあり、それに患者が同意のサインをしていること

同意書で同意していない場合は差額ベッド代を取ってはダメ

病状が重篤だったり、感染症など治療上必要な場合も差額ベッド代を取ってはダメ

差額ベッド代がかからない部屋が満室で、選択の余地がない場合も取ってはダメ

 

上記からわかるように、あくまで本人が望んで差額ベッド代がかかる部屋に入院しない場合は、個室だろうと差額ベッド代はかかりません

 

ですので、入院の際にあまりお金をかけたくない方は、きちんと差額ベッド代がかからない部屋を希望していることを事前に病院に伝えましょう。そうすることで差額ベッド代はかかりません。

 

もちろん差額ベッド代が無駄といっているわけではなく、お金をかけてでもゆっくり療養されたいという価値観の方は大勢いらっしゃると思いますので、その場合には差額ベッド代をどうやって用意するか考えておく必要があります。

 

以上のようなことを知っておくと、不必要に医療保険に入らずにすむかと思いますので参考にしてみてください。