2024/04/28

連休2日目。最近、ウィークデーはお酒を飲まないようにしていて、週末になるとここぞとばかりに飲み出すわけだけど、アルコールに弱くなったのか、翌日の体調への影響が大きい。たいして飲んでないのに、眠りが浅いみたいで、朝から体がダルい。これなら、もうすべてやめてしまえばいいんだけど、そこまでの決意はなくニヤリ  重い体を抱えてなんとか多少論文を読んだ。

ブライアン・マーチャント「ザ・ワン・デバイス」。副題は「iPhoneという奇跡の生態系はいかに誕生したか」。不覚にもこんな凄い本があることを知らなかった。原著は2017年出版。日本語版は2019年。iPhoneという世界でもっとも売れ、近年もっとも影響力をもったイノベーションがいかに生まれたか。超秘密主義で情報が出てこないアップルのiPhone開発ストーリーに肉薄する。が、この本はそれに留まらない。デバイスを成り立たせている元素(例えば、リチウムや鈴)の採掘現場や悪名高いiPhoneの製造工場に潜入し、革命的なインターフェイス「マルチタッチ」(今、まさに使っているこの入力画面)や「Hey! Siri」で有名なAIの技術的起源にまで迫る。iPhone成り立たせている思い付く限りの現場をiPhoneを携えて歩く。狂気の書だと思うが、不思議と著者からその興奮は伝わってこない。何者なんでしょう、この人。

こうしてスマホでブログを書いているけど、iPhoneを契機として生まれたこのシステムがいかに奇跡的に成立したのか。iPhoneがなければ、この現実は10年、いやもっと先だったかもしれない。そして、このイノベーションには連綿と積み重なってきた技術者の努力や命を削って鉱物を産み、非人間的な環境でデバイスを組み立てる人々の痛みの上に成り立っている。およそ10年前の取材で現在の状況とは多少異なっているたろうけど、スマホを使う我々が認識すべき現実だと思える。