≪曹洞宗 鷹が峯山 源光庵≫
洛北の鷹が峯三山を見渡す景勝の地にあり、JRの「そうだ、京都行こう」の写真、
「悟りの窓」「迷いの窓」で一挙に有名になったお寺。
山中に入ると、夏でも冷涼な空気、まして、この季節は街中よりだいぶ冷え込むため、
紅葉はやや終っていた。
いわゆるメジャーな観光コースから外れているお陰で、
ゆっくり本堂に座って
この丸窓に対峙し、思いにふけることが許されるのはありがたい。
「悟りの窓」~禅と円通を現わすとされる。
紅葉の名所は「・・・だ」とマスメディアは言うが、
落葉樹の多い京都の寺社はすべてが紅葉の名所。
散ってなお美しい紅葉に
参拝者たちが驚きの声を上げ続けていた。
いつ訪れても端正な生花が迎えてくれるのが源光庵。
「花の寺」という印象を与える。
≪光悦寺≫
源光庵を出て100歩も歩くと、本阿弥光悦がかつて芸術村を作った光悦寺がある。
狭いアプローチには、両側から紅葉がかぶさり、左右に苔が広がる。
まさに「庭はアプローチから!」なのだ。
この長い紅葉のトンネルを出る頃には、
入る前の自分ではなくなるような気がする。
光悦といえば、徳川家康からこの地を拝領し、一族、職人とともに移り住み、
書画、刀剣、和歌、茶道、など多方面に天才的な活躍をした、
江戸期のレオナルド・ダ・ヴィンチのような人物だったらしい。
鷹が峯を望む斜面に光悦が好んだ茶室や、光悦自身の墓も残っている。
光悦没後は、日蓮宗光悦寺となり今に至っている。
花木の多い自然風の庭園は実に伸び伸びとしていて心地よい。
春などはさぞかし、花々が山を彩っているのだろう。(ああ、また来たいものだ)
日本庭園を見るたびに、
庭は宗教(神道、道教、浄土思想、禅、密教)
庭は文学(漢詩の世界、王朝文学、和歌・紀行、能・謡曲)
庭は旅
庭は絵画
庭は祝儀・・・
そんな感慨に浸るのです。